高尾理一『意地悪なカウボーイ』
未読だったので。
やはりアメリカ人攻めが巧い。ただ、お話の展開とかカタルシスのために、攻めがことさら頑なだったり人種差別主義者にされていたりするのもかわいそうかも、という気もしてきた。でも面白いんですけどね。
未読だったので。
やはりアメリカ人攻めが巧い。ただ、お話の展開とかカタルシスのために、攻めがことさら頑なだったり人種差別主義者にされていたりするのもかわいそうかも、という気もしてきた。でも面白いんですけどね。
小笠原宇紀の絵が見たい気分で購入。
裏社会者と警官の話。剛しいららしい話で面白かった。
ねたばれあります。
少し読んだらかなり愛がなさそうだったりしたこともあり、随分積んでいた。やっと読む気になり読み始めたら一気に読んでしまった。いやー、久々に木原音瀬作品を読んで打ちのめされた…。
そうとは明確に書かれていないが、ハッサンも人間的に問題ある人なんだろうなあと思った。ラージンに仕えて非道なことをしてしまうから、というだけではなく、ハッサンはファウジの気持ちを全然わからないのに弟のアントンはファウジが嫌いでも感情は理解していたあたり、ハッサンとの違いが示されている。
ラージンはなんだったんだろう。もう少し奥行きのあるキャラかと思ったけれど、フェイドアウトしてしまった…同人で書かれているらしい?
ファウジはみんなにめたくそに言われていて、確かに性格は悪いだろうけど、ファウジ自身も言うとおり、ラージンにあそこまでされるほど罪深いようには思えなかった。そもそも最初は父の乱行をちょっと覗いてただけ、みたいに書かれていたのが、他の人の視点ではファウジも奴隷に冷たかったと書かれているので、よくわからなくなった。まあ双方に認識の違いはあって当たり前なのかもしれないけど、ファウジにはちょっと同情してしまった。
ラストでは、さんざん世話になったアリーを殺そうとしたファウジにブチ切れるハッサン、が、しかし、ファウジの行動は自分への愛のためだったと知った瞬間に、アリーという男と自分自身との違いを確認できて、つまりファウジがアリーを殺そうとしたために、ハッサンがたんに世話を焼いたからファウジが自分になついたのではないという証拠を遂に得られてしまう、という構造がすごいなーと思った。あ、なんか言葉にすると陳腐かな…でもすごいんですよ。そこに至るまでの延々と続く徒労(ハッサンも、ファウジも)あってこそだね。
しかしまあ、二人がやっと向き合えるのが最後の数ページだけというのも、木原音瀬らしいというか。そこだけ再読してしまう。
笠井あゆみのイラストも素晴らしかった。小説の価値を更に押し上げるイラストレーターさんであるように思う。
高校時代のバスケ部エースとその友人のオネエ弁護士と純情純粋受け。
バスケ部エースと受けは遠回り系。
オネエはなかなか活躍していた。
馬術部の田舎系素朴受けは、学外で乗馬している医学部のお金持ち王子様にからかわれてばかりなのですが、どうやらツンデレちゃんらしくて云々。
うーん。最初のあたりは、ツンツン攻めがかわいくていいなと思っていたのだけれど…。
受けはちょっと素朴さ普通さが鼻につく感じ。たとえば攻めが競技会で馬に鞭入れるのに反発するとか、なんか考え浅い。あと攻めを部活の客寄せにつかって、新入生に攻めを部員だと勘違いさせたことに気づいて自己嫌悪とか、なんか、空気読めない天然素朴青年ですてへぺろ、って感じで…要するに、作者のキャラづくりがつたないってことなのかなあと思う。純朴キャラの説明と描写がスムーズでないし、あざといし、うまくいってない感じなのかなあ。
同じことが攻めにも言えて、受けにたいしてブルータスお前もか、みたいになるとことか、なんかわざとらしいしありきたりな展開とキャラだなあ、と思ってしまって、そのあたりから流し読みになってしまった。
この作家さんは、キャラクターの魅力がいまひとつ足りてない感じかしばしばする。作家さん自身がキャラにぜんぜん萌えてないだろうなって感じがするし、キャラを記号的に設定して(田舎出身、空気よめない、普通の子、とか)、そのキャラをお話と展開のために動かしちゃってるのが見えてしまっている感じ。
これは結構前に読んだけどかなりお気に入りv
父親の再婚で、去年同じクラスだったいけすかない委員長が茶髪だらしない自分の兄になってしまいまして、お互いキライなので両親の前だけ取りつくろって学校ではシカト、なんてしてるうちに歩み寄り。
わーこういうの好きだわ(笑。
なんか最近やっとわかってきたんだけど、こういう水と油な二人で反目しあってるうちに相手のいいとこいっぱい見えてきて、好きになったらそれはもうメロメロ…というのはやっぱひとつの王道だなあと思う(や、こんなこと書きつつジョルアバを想定してるあたり、ちっとも王道ではないんだけど、笑
そんなわけで、チャラ男が父子家庭だったから料理うまいこととか、結構将来の目標ちゃんともってるとことか、いいんちょがマジメ堅物なだけではなくて、すごく母親思いのとことか、お互いに認めていく過程もいいし、互いにのめり込んでいって、いいんちょがすっごくカワイくなってしまって、チャラ男がそれをカワイイィ!とか思ってるのもカワイくてよいですね。
あと高校生ものなので、いいんちょの頑なで融通きかない感じの不器用さとか、チャラ男の適当さルーズさや売り言葉に買い言葉的なそそっかしさとか、そういう未熟なとこもすごく子どもらしくて
かわゆい。
ちなみに、堅物朴念仁な父親と、良妻賢母なピアノ教師の母親もいい感じ。
そんなわけで、なんかもう全体的にかわゆいのでいいか!という…(笑。たぶん、王道でふつーに面白いのと、あたしのツボにはまってくれたのでとってもいい感触なのかなあ、と思う。
欲を言えば、タイトルはそのまんますぎたかも…あと絵はあんまし合わなかった気もする。
超常現象を一切信じない、人を人とも思わぬドS塾講師×天然ぼんやり霊能力の才能ちょっとありな受け、の『不浄の回廊』の新作、「キミと見る永遠」が読みたくて購入。
『二人暮らしのユウウツ』で終わっちゃうのかと思ってたので、受けがのっとられてワガママぽいままのイメージで終わっちゃうのはやだなあと思ってたので、すごくうれしい!!!そしてまだまだ続きが読みたい!!
内容も、冒頭でいきなり攻めが甘い言葉をささやきだすのがベタに面白かったv大筋はがっつり心霊現象がらみで、末尾は意外に(?)今後を見据えた展開だった。末尾で結構いろいろ動いてたので、逆説的に今までふたりは安穏としてたんだよね、と思ったけど、これまでずいぶん苦労してきた二人だし、もうちょっと新婚生活させたげたかったですね…という気も。
しかしまだまだこの先が読みたいなあ。だらだらしてしまってもぜんぜん構わないから、長期シリーズにしてほしいvというか、むしろだらだらが読みたい(笑
表紙のカラーもかわいいなあ。中身のカラーはアレなシーンばかりでかえって残念…(笑。しかし小山田あみさんは最近仕事しすぎではなかろうか。デッサンしっかりしてる人だし大丈夫とは思うけど、万一この人の絵が残念なことになるようなことがあれば、ほんとうにほんとうに残念なことだぞ…当社比で。
出た頃に買ってたんだけど、作者さんのブログを読んだらすごく気負わされたというか重荷になってしまって、積んでました(笑。
光線過敏症の受けは、小学校でいじめにあったりして今では好きな音楽をしつつ通信高校に籍置きつつひきこもり。そんなある日夜の散歩で母親の帰省でやってきた小学生と出会って云々。
タイトルどおり、小学生×高校生→高校生×20代前半→大学生×二十代後半とエピソードがわかれてた。
のだけれど、最初のエピソードは当然ラブ未満だったけれどこれが一番よかった。
ただ、攻めが小学5年生にしてはやたら子どもすぎ素直すぎで、ちょっと正直きもい気もする(笑。素直でかわいくてまっすぐでおひさまのようで、ちょっとジョルノっぽくていいんだけどね(笑。でもかわいそう受けにまっすぐ向かってく感じが王道ながらよい感じだし、夜の出会いから逃避行まで、ファンタジックなかわいさもあって、タイトルにある真夜中という言葉もしっくりくる。
2つめのエピソードはタイトルが使い古された語句の引用で、それがアレンジなしでそのまんま使われてるのがちょっとなえる。あと脇キャラもいってたけど、毎週末受けの町に通ってくる高校生って…けなげすぎる(涙。しかし攻め視点だからおおむねもんもんとしてる感じだし、攻めも高校生になって、まっすぐさは残ってるものの多少の分別がついたり、一段と社会でも苦労してきてたり、という、おひさまのまんまでは居られない感じが正直残念でもある。クロニクルなのだから仕方ないのかもしれないが、年代記は成長期でなくてもいい気がする。
そして3つめのエピソードにいたると、もはや受けいい加減にしろい!という感じになってくる…攻めが気の毒すぎる。受けもそれを自覚しててなおあんまし動かないし。受けの思い切った行動に攻めは感動してたけど、しかしその前に攻めを怒らせたある種のでしゃばりと似たような行動でもあると思うんだが…なんにせよ、受けの危機に攻めが華麗に現れすぎだし、この最後のエピソードの影響か、全体的に受けに都合のいいテクストだったなあ、という印象になってしまった。
芸大を出たもののマネキン会社で原型師してる受けは、バイトの若く美しい大学生が気になって彼をモデルにしたブロンズ像をつくはじめるのだけれど、現実の彼がやってきたりして云々。
直球なピグマリオン話だけど、かわった設定で期待してたもののなんだかいまいちだった…。
受けはある意味半端な芸術家で、母のつくった世界で育ってしまったせいもあって、人付き合いがあまりうまくなく、つくっている像の幻覚と対話するクセとか面白みがあった。
その攻めが…若くて受けに初恋一目惚れで、芸術を語るような人間ではなく太陽のようなふつーの青年で、というのはいいんだけど、というかお話的にもブロンズ像ではない生身の人間の象徴だからそれで仕方ないんだけど、それにしたってあんまりにそれだけなので、情緒がなさすぎる感じも。家の事情でお金に困っててあっさり受けの家に住まうことになったり、家に来たら来たですきなようにリフォームおねだりしまくって…なんかさ!そういう強引さ、生身だからこそ出てしまう要求や瑕疵って、それはあるだろうけど…。なんか、魅力がないんだよね。
そんな感じで、ん?と思わされちゃう攻めを、受けの幻覚がちくちく攻めていくので、かえって居心地が悪い。受けがノンケ(だと思っていた)の攻めに惹かれる愚かさや、欲望むらむらな攻めの本心への疑いとか、攻めに利用されているのではという疑いとかを露悪的に語る幻覚は、受け自身の無意識によるものだし、それは読者が攻めに感じてた違和感とシンクロするし、結局そうした疑いは宙吊りなままなので、なんだかなーという感じ。そういうモヤモヤや幻覚をガツン、と打ち砕いてくれるような強い≒魅力的な攻めではなかったなあ、という感じ。