高遠琉加『世界の果てで待っていて~天使の傷痕~』
これも去年読んだのである。
元刑事の探偵×元同僚の刑事
受け攻めは暫定、みたいな。
読んだときはそこそこ面白いと感じたけれど、実は特に書きたいことはないのである。
ボーイズラブというよりも、双子の片割れ失踪事件にまつわる事件を主軸とした展開で、その事件の筋自体も悪くはないけれど特筆したいような魅力があるわけでもない。なので、そこそこ面白いけれども、で?という印象。
ボーイズラブとしての筋には攻め(暫定)の妹の死が深くかかわってくるのだが、この妹が美しい。…主役二人は、これまた悪くはないけれど、という印象。
こういう事件を主軸にした展開にするにはこの作家はちょっと文章の力が弱いのかなあ、と思った。他作品での一人称のうまさとかかんがみても、精神面での筋をもっと前面に押し出したほうが面白い作品を書いてくれそう。一般的な感情を書くのもうまいけれど、ちょっと常識を逸脱したところの精神とか書いてみてほしい。なのであたしの個人的な好みもあるけど、奇矯な主人公のお話とか読んでみたいと思う。
雪舟薫の絵は美しい。