沙野風結子『蜘蛛の褥』
高校時代の後輩先輩、蜘蛛をせおったヤクザ×検事。
検事は真実を見極めるため、自分で捜査に手を出したりして周囲に煙たがられているのだけれど、今の同僚はこころよく協力してくれるため、既婚者なのだけれどつい心惹かれてしまう。そんな折ヤクザの組絡みの事件にかかわって、後輩に再会してそういう関係になりつつ。
作者は後書きとかフライヤーのコメントとかで、「意味のある3P」という言葉を書いておられ、すごくそれにこだわってたんだろーなーという気はする。のだが、どうにも同僚がダメすぎで…。退場する時もほとんどフェイドアウトって感じで、そんなキャラだから、3Pについてもヤクザの側から見れば意味はあるんだろうけれど、検事の側からみるとどうにもこうにもな意味しかないというか。
なんだけど、じゃあヤクザ視点で話が作られてるのか、あるいは物語の構成においてヤクザサイド視点がキモになっているのか、というとそうでもない。
どうもヤクザの検事への執着がどうも記号的にうつるというか、こんなふうに一人に執着すんのははじめて、ってのはよく使われる言葉だが、よく使われる言葉なのだからもう一工夫ほしい。
あとモンモンにかんするエピソードとか、画としては強烈だが、描写のせいだろうかなんだか物足りない。このエピソードとか、先の3Pも、展開としては強烈なわりにうまく活きてなかった気がする、というか。展開が悪いというよりも、エクリチュールに力技もしくは巧みさが足らない印象だった。うーん。うまくいえないけど。
そんなこんなで、ちょっと全体に物足りなさが残った。