九葉暦『balance due ~薄幸体質の男~』
エクリチュールが独特で面白かった。なんとなくネット小説書いてた人だろうなという気も。そして、この作家、これが初作品なのかな?
しかし何にしても、やはり文体とかエクリチュールが個性的なのって武器だよなあ。読者の好き嫌いが印象に激しく影響するという意味では強みにも弱みにもなるだろうけれど、それでもやはり小説は言語のみに頼るテクストなのだから、あえて武器だと考えたい。
ただ、この文体は、受け一人称で、個性的な視点で怒涛のいきおいでなされる思考がはげしくだだもれているから活きてる印象なので、三人称視点とかになったらまた印象がかわるのだろうなという気もする。
しかし、そんなわけで、小説として面白くはあったのだけれど、実はBLとしてはどうだろう、という気もするのですよ…(笑
後輩の友人のノンケ×ゲイの医師。先輩医師×医師でもある。
超好みだった攻めを初対面で家においてやることにしたんだけど、なんかされてあげくそれを「ご奉仕」とかゆわれてブチきれる受け。受けに「寄生虫」よばわりされてブチきれる攻め、は、そんなこんなで周囲にはいい人と言われてる受けは、冷たい人だと思っている。
なんだか…わかりづらくてすみません。
受け視点で、結構それが身勝手で、だから薄幸体質、って感じなのだけれど、まあその一人称は面白くもあり、しかし身勝手にすぎていらいらもさせられ、という感じだった。
あと受け視点でしかも身勝手である、という関係で、どうも年下のほうの攻めの描写がうすくてあんまり魅力がない。
「サメ」みたいな先輩医師の方はまあまあよかった。受けのことを「瑞穂くん」とか呼ぶのも好き。
しかし三角関係は好きです(笑、いやフィクションとして。
北畠あけ乃の絵は好きだがこのCPは全然イメージと違う。受けはもっと大人っぽいほうがいい。攻めはもっとチャラ男っぽいほうがいい。でも先輩医師はよかったというか、文中にアラブの金持ちみたい、と描かれていたのでイラストが出てくるまで超恰幅の良いひとを想像してた(笑
あと絵のせいではないけれど、この受けは絶対メガネのほうがよかったと思う。