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[ 読書/BL小説 ]

英田サキ『いつわりの薔薇に抱かれ』

 あ、カニバリズムには勿論吸血も入ります、ということなどを追記しました。

 おぉー来たー。

 表向きは若き実業家×ホテルのバトラー、実は香港マフィア×警視庁のおとり捜査員。

 新しくマフィアのボスになった攻めの来日情報をえて、中国系工作員との接触をうたがった警視庁某課では、中国語が話せる受けを滞在予定のホテルにもぐりこませる。そのホテルでは丁度上階にはバトラーサービスを展開していたため、受けはバトラーの訓練を受けて攻め部屋付きにしてもらう。最初は攻めに拒絶されかけたものの、次第にバトラーとして受け入れられたところで、滞在中の恋人となってほしいとか言われだして・しかし断ったら任務失敗しちゃうし・だんだん本気になっちゃうし・攻めの元カレの影とかもあり・攻めはまだ元カレ好きそうだし、云々。

 受けは男性らしさがありつつ、攻めに引かれていってしまう乙女心がそんなに女々しい感じがしなくってよかった。絵のおかげもあるかも。しかし、バトラー、捜査員、契約恋人といろんな要素を持ちつつ、その切り替えが今ひとつうまくいってない気がした。契約恋人として、いきなり服脱いでまな板の鯉(笑)になって攻めに爆笑されるとことかはそれがうまくいっていたんだけれど、特に前半のバトラーと警官との振幅はもっときっちり書き込んで欲しかった。発話と心内の振幅がもっとあってもよかったし、あと例えば捜査報告のメールを文章化するとかして、バトラーの発話と捜査員としての言葉の差異をもっと書いてくれたらよかった。その点、最後の告白シーンとかは急に言葉が変わった雰囲気が出ててよかった。
 攻めはきちんとした傲慢攻め(笑)というか、傲慢で、結構紳士で、実は孤独で、と折り目正しい傲慢攻め(笑)だった。長髪なのも個人的には良い。

 物語の筋も、恋愛面は勿論、マフィア関係のエピや元カレのエピ、攻め母のエピなど、どれもうまく機能してて全体としてもしっくりきていて面白かった。特に攻め母の「何日君再来」とかは、受けの語りにおいてもうまく機能しててうまいなー、…と思っていたら、あとがき読んだらこのシンクロは偶然の産物だったらしい…(笑

 しかし、これは…続編、もしくは番外編…ないんですか???(涙。是非書いて欲しいのですが。

 あと、そういえば攻めサイドの過去は丹念に語られたけれど、受けの方は全然だし、その辺りからめて…続編読んでみたいのですが…。

 石塚理の絵は、表紙はいまいちに思ったけれど中の挿絵はよかった。二人ともゴツくてよい。

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