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[ 読書/BL小説 ]

秋月こお『嵐の予感』

 今回もまた、嵐の予感に満足よ、な方はご覧になりませんよう。

 …ご忠告は致しましたよ!

 ということで。
 なんかもう、2ちゃん風に「これはひどい。」の一行で済ませてしまいたい誘惑にかられています。

 というわけで、今回はフジミとタクミの新刊が同じ日に出たんですが、どっちから読もうかとワクワクしていた、というのはゲンミツにはウソで、二冊いっしょに出る、ということ自体になんとはなしにウキウキしつつ、でも今回のフジミの予想される内容を考えてたら鬱々として、とうてい読む気になれなくなったりしてました。

 のだけれど、やっぱり展開だけはかすかに気になって、店頭でパラパラとめくってみたら結構止まらなくて、結局一応買ってしまった。

 でも結局ちゃんと読む気はしなくて、なんかブログをRSSで項目タイトルだけぱぱっとチェックするような読み方をしてしまった。そんな本をわざわざ買ってしまったこともちょっとショックだが、やっぱフジミは悠季のブログになってるんだよなと思った。トレペ?買ったとか、どうでもいいよ!(しかしこんなこと覚えてるあたり、なんかなんだかんだで結構把握しているのかあたしは。ほんとにちゃんと読んでないんだけど

 しかも悠季の性格は悪化小姑化の一途だし、それでいて仕事はなっちゃあいないし、そんな視点人物キッツイよ。弟子を偉そうに説教視点で見て、それでいて取り柄だった努力は怠って、なんて、どんな言訳されても感情移入できないよ。このお話って、グダグダな視点人物にイライラしたりムカついたり恥ずかしくなったりする(キャッチャーインザライみたいな?)のがデフォルトの楽しみかたではないはずでしょう?

 そもそも前回も、前々回もか、読み流したのですっかり忘れていたが、演奏会でブルッフとシベリウス両方なんてどう考えても無理じゃないか。こんなギリギリになる前に、早く断れば良かったのに!
 でもまあ圭がソリスト、よしのこーじが指揮というお遊び展開は面白いと思った。こんな展開にするために悠季はコンチェルト二曲なんて引き受けさせられてたのかもしれないが…。だとしたらそれって、展開のために悠季を犠牲にしてるってことになるんじゃ…。どっちにしても、悠季の無責任さを印象づける結果になってしまうわけだし。

 ところでしかし、圭のバイオリンは面白いかもと思ったところで気づいたのだけれど、フジミはもうそういう目新しい展開にしていかないとしんどいんだろうなあと。今回のフジミの古参と学生の不和なんて、前にもやったじゃんと。
 わたしは六部で唯一面白かったのがスプラッシュコーラなので、ちょっとそれも情けないだろう作者、と思いつつ、今回の演奏会とかもふくめて、そういう奇をてらった展開ももっと活かして大きくとりあげてほしいと思う。地味展開はもういろいろ無理がきてるよ。特に悠季の扱いに。

 六部では悠季の弟子育成展開は目新しかったのかもしれないけど、なんて展開がダラダラしすぎて読めたものではないし、悠季がどんどんダメダメになっていくのはやっぱり読んでて鬱ですよ。フジミってそういう話じゃないでしょう、と。悠季がダメな部分もありつつ基本的には良い奴で魅力がある人間だから、読者はこんな何冊も読んできたんじゃん(多分。

 というわけで今後はもう、奇抜で目新しく、かつ悠季がダメではない展開にして欲しい。それってお話としてあんまり評価されうるものにはならない気もするけれど、正直もう他に道はないと思う(弟子話とか見ている限り、もう地道に面白いお話は正直期待できないと思う。

 正直六部はそんなこんなで、ほとんどまともに読めたもんではないと思う。まあそろそろ六部も終わりそうだし(あと一二冊でしょう多分)、でも七部に期待、は今のところできそうもないよ…

 …あ、そうそう、再録についてはもう、怒りを通り越して何も言えない。
 だって、ページが足りなかったにしても、雪兎とか変人倉とか、未収録の短編ってまだ沢山あるんでしょう?なんでわざわざこないだ出たばかりのクラシカルロンドの短編ですか。
 そしてこの薄さについては、要人警護や王朝ロマンセの分厚さを見ると、本業の忙しさとかのせいだけではなかろう…と。

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 個人的なことですが。なんか六月祭のサークル参加は今年も無理な気がしてきた。萌えが枯渇しそう。

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コメント

初めまして!読後、もやもやした不安感を抱えながら、ネットでいろいろな方の感想を拝見中、クロエさんの感想が一番、私のもやもや感を的確に言い表していたので、コメント欄にお邪魔させていただくことにしました。

クロエさんの今後の展開へのコメント、私も大賛成です。苦悩を描写するのも大切かもしれませんが、とにかく全体として、悠季(もちろん圭も)が、音楽家として“前進していく”勢いを取り戻さないと、この停滞からは抜け出せないと思います。

このシリーズ、話に勢いがある頃の悠季には、たとえグダグダ悩んでいても音楽への情熱が透けて見えるきらめきがあって、読者としてはサナギが蝶になるのを見守るようなワクワク感を覚えました。それが今では、「○○とxxを手に入れたいけどおこづかいが足りなくてぇ~」と言ってるやりくり下手の小学生のグチを聞いているかのような“そんなんどーでもいいよ感”を覚えます。

それでも創作には波があるものですから100歩譲って本編が低調なのはなんとか呑むにしても、ホント許しがたいのがこの再録システムですね。ついこの間出た、絶版なわけでもない本から再録なんて、ファンをバカにしています。「固定ファンならこの構成でも買うだろう」という甘え。考えた出版社も、それを許した作者もプロとしてどうよ?と思ってしまいます!
ふぅ~ なんか怒りのはけくちの場にしてしまってすみません(笑)
次巻ではぜひ、大きな転機を期待したいですね!

>べりんださま
はじめまして!書き込みありがとうございます!
同じように思っている方がいらっしゃるのだとわかって、うれしいです!(笑

>悠季(もちろん圭も)が、音楽家として“前進していく”勢い
そうなんですよね~!音楽家としての前進というのは、やはりフジミの通奏低音としてずっとあった流れだし、必要なものなんですよね。教師編はどうも音楽家としての悠季の成長には関わらなさそうというか、むしろ悠季は後退してしまっているように見えて仕方がありません。

あと、先日友人と話していて気づいたのですが、恋愛面も前進してない、というかしようがないんですよね。圭との関係が馴れ合いじみてきてしまっているのも、音楽面での足踏みっぷりを助長しているように思えたりします。そろそろひと波乱あってもいいというか、音楽面で停滞中なら、せめて恋愛面でドラマチックな展開を見たい気もします。でもたとえば、今のままアテウマキャラとか登場したりしても、更にごった煮になってしまいそうではありますが…

はけくち、大歓迎ですよ!(笑。ご感想を伺えて楽しいですし、いろいろ気づかされます。
しかしやはり、こうして憤ってしまうのは、やはりファンだからこそなのだろうなと自分でも思います。あんな非道な再録は許せない、と思いつつ、やっぱり購入してしまうのですから…本当、次巻以降に期待したいところです。

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