高尾理一『恋するバンビーノ』
あれ…え、どうして…萌えなかったの…?
高尾理一で、タイトルからも明らかにコメディ路線の高尾理一で、しかもイラストが大和名瀬!こんな萌えが確約されたコンボで、どうして萌えられなかったのか…。
高校生でクールなイケメンでモテモテだと思われているけれど実は童貞、の主人公。エスプレッソに惚れてバイトをはじめたカフェの美人店長がゲイだと知って、気になって仕方がありません。
なんだろうーこの残念っぷりは…。
キャラ設定があまいのかなあ。外面はイケメンモテ男、実はオクテというのはとてもいいと思うんだけれど、なんかいまいち性格がわからんし、魅力がない。大げさになってくモテ男レジェンドにおののきつつ、童貞だとバレるのこわさにそれを助長したりと外面はクールぶって、という矮小さが、かっこよくないのはいいけれどあんまり面白い感じで語られてもいなかった。そんな経緯から感情が顔に出にくい、けど内面ではあたふた、というのも描写がうまくなくってもったいない感じだったかな。店長は主人公の気持ちに全然気づかずに惹かれつつ、でもこんな年下のイケメンモテ男だし自分みたいなおじさんなんて…と悩む、のはベタながら面白いと思うんだけれど…。主人公も店長も、設定はおおむねいいはずなのに、描写がしっくりきてなかった感じ。
お話も全体的に地味で、山場にもかけるし、これまた描写がいまいちなのであんまり面白くない。主人公に惚れてるクラスメイトが店にいりびたって、主人公も店長もイライラしてるあたりが長くって、読者もイライラしちゃうんだろうな。
そんなこんなで、高尾理一はコメディ得意な作家だと思うんだけれど、今回はなんだかからまわってしまっていた感じ。素材はいいはずなのに、せっかく大和名瀬の挿絵なのに、ああぁ~もったいない~!!!