いつき朔夜『午前五時のシンデレラ』
先月読んだ。
書店で見てタイトルがいまいちで、然程興味を惹かれなかったこの小説、しかしオビを見た瞬間に買い決定でした。
曰く、「ずっと抱きたいと思うちょった。」
地域語(方言)BLです…!!!
攻めが小倉弁なのです。超カワイイです。やっぱりネイティブの方の地域語っていいですね。しかも、いちいち注釈が入らない潔さが個人的には最高でした。はっきりいって、よくわかんないセリフも結構多いんですよ。文脈でなんとなくはわかるんですが、たとえば「みてみい、やおなかろうが。今日はよこうとけっちゃ」…いまいち、わかんない(笑。けど、注がつかなくてもなーんとなくわかるし、余計な説明がないからテンポよく読めて、作品世界に入り込めてよかった。あと、祭りとか町の雰囲気とかがしっかり書き込まれてて、それも面白い。ビバ、ご当地BL!という感じで、もうそれだけでツボ刺激されまくりだった。
…ええと、ことが後先になりましたが、お話もちゃんと面白かったですよ(笑
釘師×元高校教師。
教え子を懐妊させた疑惑で職を追われ、パチンコ店に住み込みで入った受け。バイセクシャルな釘師に気に入られて同居をはじめる。元教え子との邂逅や釘師の居た組とのいざこざがありつつ、釘師が受けに惚れて云々。後編では釘師が心酔してる兄貴分とのあれこれなど。
受けは標準語なのだけれど、出身とか経歴が全然あかされてない。けどそれもなんだか自然で、そういう書き方(きっときちんと設定はあるんだろうけれど、それを饒舌に書き込みすぎたりはせず、しかも書かなくても不自然ではない、というエクリチュールのありよう)は個人的には好きだ。
攻めは、もう地域語使いというだけでオールオッケーなのだが、元ヤクザのやんちゃっぽさとか、しかし受けより年下というビックリ設定とか、もうなんもかもよいというかよすぎる。そして、長髪ってのも個人的にツボすぎた…(笑、実は結構長髪好きかもだ。受けにたいする惚れ込みっぷりもかなりよいです。全編から後編での成長があるのもよいです。
そんなわけで、とにかく小倉弁の攻めがかわゆくて、それだけでも読む価値アリです。いや、でもちゃんとお話も面白い…はずです(笑。攻めのかわゆさにくらまされてる可能性もゼロではないので、いまいち判断力に自信が持てませんが…、たぶん(笑