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[ 読書/BL小説 ]

ごとうしのぶ『誘惑』

 買うときは薄いなあ、と思いましたが、そしてあんまし事件的な展開はありませんでしたが、でもある意味すごく濃かった気がしますよ!

 託生は冒頭あたり、ギイの態度に落ち込みっぱなしだったけど、三年になってからの弱い託生って、かわいいけどあんまり託生らしくない気もする。んだけれど、今回は、落ち込んでても、良い意味でどこか軽い気がして、ああやっぱり託生だなあと思った。
 あと、ギイの「ぷち方向転換」(何で赤池が「ぷち」で託生が「プチ」なのか…)に喜んでる託生は素直でかわいい。また一人で勝手に決めるなよ、って怒ってもいいとこだろうに。ラストでも、怒ってたはずなのにいつのまにか謝る羽目になってるとことか、とっても託生だ。

 ていうか、今回もギイは、勝手で子どもぽいとこが多くて、でも憎めないという、とっても崎義一だった。佐智に託生は音大くらいなら楽勝だろうと言われて、ついつい国内の音大を軽んじるような失言してるのも、悪意のない親バカみたいな、ギイの託生好きぶりがアホっぽくてとってもかわゆい。
 そして「背に腹はかえられない」とかいって、やせがまんしてて託生を見失わないようにって、権力ふりかざしたな!(笑。携帯にないしょの許可とかって。ギイのこういうアホなとこが好きだ。そして島岡さんが送ってくれたのは、これまたアホな、そしてバカみたいに高級なストラップか!(笑
 あと覚悟の話あたりは、とてもよかった。相手に望むのではなく、ただ知っていてほしいという。あたしの解釈はそう間違ってもいなかったかなと自画自賛の自己満足だし、「覚悟はいいか?オレはできてる」なギイは幹部か!(笑

 託生のバイオリンは、どうやらうまいらしいと、やっとはっきり書かれたような…(笑。佐智が演奏家としてはどうかと言ってたのは、おそらく本人の覚悟の問題なのではと妄想。
 佐智はいいこと言ったなあ。ギイは指揮者になったらいいんだ(笑

 一年生とのジェネレーションギャップ、あるよねー(笑
 中郷はカコイイ設定で、キラッキラのトロンボーンなんてちょう似合うなあー。いいよね、トロンボーンって映えるよね。しかし、ギイに近づくために託生を利用しようだなんて、ぽやぽやなのにまさにチェック組、ほんとにそんなひとたち居るのかしらとそろそろうたがわしくなってきていたチェック組、なので(笑、びっくりです。こんな身近なところにそんなキャラがいたなんて。
 感じのわるーい鷹司は、実はあれは託生への親切のつもりだった、とかだったら面白いなあ。そんで鷹司の不器用さに託生の天然ぶりがうまくフィットして(笑、鷹司が託生になついちゃったらとってもいいなあ。そんで更に、中郷渡辺鷹司で託生の取り合いに…あ、妄想が過ぎましたか。
 しかしタクミくんというお話は、あたしが期待しているほどには託生ハーレムではないので(笑、たぶんそうはならないかなと。まあ、託生ハーレムにならないのは安易でないからだともいえるし、それがタクミくんのいいところでもあるのですが。
 寝込みを襲ったのは誰だー。

 科学部長の剱持くん、突然の新キャラで妙によく出てくるのでなんだろうなあと思ってたら、こんな伏線とは…そうか、託生はあれの裏事情をいまだに知らなかったのか。なんだかすっごいよかった。
 そこで託生が、ギイの細やかな心配りを自分も『他のひとと同じように』うけていたと知って喜んでるのが、すごい人だよなあと。みんなに親切な恋人にいじけたりもせず、特別扱いに喜ぶとかではなく、ひとしなみに親切にされてたと喜ぶというのは、なんかスゴイ。勿論、ギイは託生には特別に親切なつもりだろうし、託生自身も人並み以上にというかただ一人への愛情を受けていることを知っているからこそ、そういう喜び方が出来るのかも知れないけれど、なんかこういう託生がやはり好きです。
 そしてその後の、「ギイの話題は、今は、照れる」あーこういう託生のエクリチュールがとっても好きだ。まったく何でもない一文なのに、なぜか他に替えがたく、きっとこの作者以外の誰にも書けない。

 というわけで、タクミくんは託生のキャラクターと託生視点のエクリチュールが、やっぱりとってもいいなあと再確認できて、今回も楽しく読みましたv

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