橘かおる『紳士で野獣』
特殊捜査機関×入国審査官。
冒頭あたりの、攻めが突然受けを食事に誘ったあたりからなんだか機微がブッっとんでる印象で、のめりこめなかった。絵が桜井しゅしゅしゅだし、あらすじが微妙だったのだから、やっぱりやめておけばよかったかなあとかなり早い段階で後悔してしまった。
なので(?)エッチはとばして読んだ(最近思うんだが、あれ、は筋が面白い・感情移入の可能な物語、の挿話・展開の一部、として読むのでなければ、読んでいて苦痛なだけなのではなかろうか。
常に両手に手袋、冷たく人を寄せ付けない、自分の感情にすら疎いという攻めはいいのだけれど、受け方面がどうにもこうにも。キャラ的にもあんまり魅力がないし、受けの妹を助けてくれたヤクザとの一連のながれが、そりゃないよって感じ。優しいヤクザに兄妹でなついてるのもおいおいだし、自分の超能力を過信したがゆえに騙されていた(のかも?)とはいえ、密入国に手を貸す受けもおかしいし、その後ヤクザが豹変するというつまんない展開、それでもいい人だったかも、というおとしどころ、なんというか総合的にグダグダ。
BLとしては、攻めの性格のせいと、続編がもともと予定されていたせいだろうか、あんまり精神面がかかれてないし、特に見所はない。
であるがゆえに、BL以外の物語=ヤクザとか入国管理とか秘密捜査とか、がいまいちへたれなので、全体的にいまいちな印象。
というか、まあ、BL以外の部分って、本作では入国管理云々の部分なんだけれど、根幹はX-MENなんですよ。攻めは手から電流を流せて、その電流でスーパーハカー並にPCを手なずけるという厨設定、もといワロス設定、もといヘタレX-MEN設定。一方の受けは人の悪意がなんとなくわかるという。攻め相棒もサイコメトラー。
続編が予定されているそうなので、もっとX-MENになっていくのかな。それは試みとしては面白そうだけれど、この作家がどう書いてくれるものかにはあんまり期待できない気もする。