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[ 読書/BL小説 ]

鳩村衣杏『秘書の嗜み』

 表紙がいいですな。

 元気でチャラ男っぽい印象の広報課×まじめでびしっとクールなメガネ社長秘書。
 二人は互いにニガテに思っていたものの、攻めのマンションでのボヤ騒動の際、受けは自宅に招いて食事をご馳走し、なんだかだあって攻めに気に入られて押しかけ同居するはめに。

 キャラの設定や描写が丁寧で面白かった。時期社長候補と社長秘書、一見チャラ男とマジメガネ、ほんとは心優しい攻めとトラウマありクール受け、という重層性がきちんとしっくりきてた。
 受けのお酒にまつわる過去の話とかもうまく活きてたかと。ちょっと一歩間違うと危ない感じだったし、あと最後のほうの週刊誌にまつわる事件はちょっといまいちな気もしたけど。
 それでも最初に家に招いた時に、酔っ払ってゲームやりながら泣き出して、お前ほんとはゲームの上手いいいヤツだったんだな、とか言い出すところは面白かったし、そこでぐんとこの二人のキャラに引き込まれたような気がした。
 お話作りも丁寧で、秘書という職能と二人のキャラの性格をうまく活かした展開でよかった。

 文章がやはりもう一つ、という印象なのだが、「ゆったりと心地いい列車のリズム、秋の香りがかすかに混じった風、柔らかな時間――誉には、そのすべてが及川自身のように思えた。及川に手を引かれ、及川の中を旅していく。(後略)というとことか印象に残った…、のだが、これ前半なんかもうちょっと他の言い回しないものか。そのすべてが及川自身のように思えた、は直接的過ぎる。柔らかな時間、もありきたりな気がする。といった感じで、いいなと思う言葉はあるんだけど、前後のつながりとかがなんかもったいないなあ、という印象を受けることが多かった。

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コメント

読みましたー。表紙がよくて、細かいところまで見てしまいます(笑
最初のほうの、受けが月イチのひとり酒でご満悦なとこが、ちょっと量普通じゃないでしょ、この人本っ当にお酒好きなんだな~と笑ってしまいました。しかしクライマックスの一言に至るまでお酒ネタが生きてるのも上手いなーと。
特筆すべきは、読書量の少ないわたしには、この本でBL的細かい疑問が幾つか氷解したとゆうか…そうだよ最初っから上手くいくわけないよねぇという、そんなとこも丁寧にかいてあってすごく好感が持てました(笑。ながくてすみませんー。

>マリィさん
そうそう、ただお酒が好き、というのには酒量が多すぎますよね(笑。半端ない。
「細かい疑問」はきっとあのあたりかな…結構書いてらっしゃる方もいますね。しかし本作品に限ったことではないのですが、どんなに緻密に&現実的に書いてあっても、現実と虚構のはざかいという感が残る気がします…(笑、なので、ある意味面白いです(いやある意味ってヘンな意味ではないです。

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