夜光花『水曜日の悪夢』
牛泥棒は…?
タイトルに若干の不安を覚えつつ、バイオリニストのカコイイ表紙に惹かれて&数作読んでみてこの作家に興味があったので購入。
…わはははは。
いや、笑うようなとこのある話じゃないんですけどね。
事故によって奏者の道をたたれたバイオリニストが音楽関係の高校で講師をしてたら逸材発見。父親からの暴力に困った高校生を自宅に住まわせることに…。
なんて梗概を読んでたので、四十ページでまず仰天。聞いてた話と違うじゃん、と(笑
いや、虚をつかれてある意味面白かったけれどね。
途中までは我慢して読んでいたのですが、半分くらい読んだ辺りでどうにも堪えられず、最後の辺りを先にめくってしまいました。
以下ネタバレに近いですので、ご注意を。
そりゃあね、確かにわたしは時間ものSF+BLが好きだと言いましたけど、でもね。
時間ものSFBLが好きなのは、ふたりの関係性がよりドラマチックになるからであって、恋愛をきっちり書いてくれなきゃ、SFとして読むしかなくなってしまうわけじゃないですか。そしてこの作家は、BL抜いたらかなり力量にとぼしい、文章すらまずいとこだらけの作家(だとわたしは思う)なわけで。
まあなんにしろ、バイオリニストがずーっと「高校生の才能のために、情緒面をのばしてやりたくって、自分のことを好きだと言うのにつきあって恋人を演じる」という鬼畜ぶり(笑)で、これはとってもBLとしてはしんどいですよ。で、いきなり最後にあんな展開になっても唐突すぎるというか、これまた異様な事件の中で惚れた気になっちゃってるだけのつり橋効果に見えてしまったし。
そんなわけで、今作では文章のまずさも一層気になってしまった。「真吾はバイオリンの練習をしていたものの、邪念に囚われているような音を出している」というところとか、前半後半で時制がちがうこともさりながら、…先生への恋情で気が散ってる、ということを書きたかったのだろうけれど、「邪念」て、ちょっとどうよ(笑。とか。
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しかし逆に言えば、BL部分をうまく書いてくれたらかなりわたしの萌えツボにハマってくれる作家なんじゃないか、という気もする…『凍る月 漆黒の情人』がそうだったようにね。