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[ 読書/BL小説 ]

榎田尤利『交渉人は黙らない』

 悪くはないのだけれど、うーむ、という感じ。

 進学校時代の先輩後輩、ヤクザになった後輩×ヤメ検ヤメ弁の交渉人。

 個人的に一番ネックだったのは交渉人かなあ。口のへらない、それこそ「黙らない」交渉人が、高校時代まで殻に閉じこもって誰とも話さないような性格だったということがすごく違和感があって、両親の死後にいろいろあったんですよ、とか書かれていてもその色々が明確には書かれてないからやっぱり違和感はある。まあこのへんは今後書かれていくんでしょうけど。
 それはともかく、そのうるさい交渉人にどうも感情移入できない。脳内がだだもれの一人称はニガテだと何度か書いていますが、ニガテなのは文体そのものではなく、要するに(比喩的な意味でも実際的な意味でも)饒舌な視点人物、なのかもしれない。妙に自信満々な視点というか。自信満々なのに、自分は体力ないからとか留保つけるのも、客観性を保とうとしてるように見えてなんだか好きではない(最近のフジミの視点人物がまさにそんな感じなんですけどね。…うーんしかし、これは多分わたしの個人的な好みだと思うので、あんまり論理的に批判はできなさそうだ。

 ヤクザはメガネだったのでよいと思う(何だそれ???
 事務所のメンバー、寡黙なロシア系(だっけ?)キヨとか、元気なおばあちゃんのさゆりさんとかはすごくベタで、まあベタでもいいけれど、なんか物足りなくもある。

 話の筋自体は、ネゴシエイターという職能をわりあい活かしてつくられていた気がするし、そこそこ面白かった。

 絵については、ヤクザはまあ奈良千春だしすごいカコイイ。交渉人はちょっと雰囲気と合ってない印象。本文からはもうちょっと貧乏そうなふんいきで想像してしまう。

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