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[ 読書/BL小説 ]

西江彩夏『純情な人のように、さよなら』

 フリータっぽい若者、実は劇団所属×美人メガネ外科医。
 表面だけ取り繕っていつもにこやか穏やかな外科医は、私生活では美少年取っ換え引っ換えの不誠実っぷり。ある日駐車場で出会った、趣味ではないけど上背がある美形をひろってお持ち帰りしたら、おいしくいただかれてしまいました。大ショックだったのですが、傍若無人な若者になんかかんか私生活に入り込まれてしまい、次第になじんできてしまいまして。

 あとがきを読んでて、ああそういえばアンハッピーエンドっぽいタイトルだなとやっと気づいた。なんとなく、このタイトルでもアンハッピーエンドではないという確信をもっていたのはなぜなんだろう。木原音瀬とかじゃないからか?(笑

 前に読んだのもその傾向があったけど、攻めの行動原理がよくわからなかった。特に前半は出会い含めて結構むちゃくちゃな人だしそのせいもあるかも。淋しげな受けが気になるスキになる→無理矢理じゃないと手に入らないだろうと暴挙→なんかひねくれ者なのがわかって恋はさめたけれど、同情プラスラブの予感、なのか。
 受けは無理矢理されて、それでもなんかずるずる受け入れてしまうあたりはよくわからん。後半での好きだけど別れたい、というグダグダは、こういう系統のお話のセオリーというか、いったりきたり唐突だったりしてもまあいいんだけれど。

 むしろ受けはキャラがわかりづらかった。不快なことがあっても外面だけとりつくろって微笑んで、相手をバカにしてる、というキャラで、喋りも相手を小馬鹿にしたようないけすかない感じなのだけれど、地の文で示される内面とはちょっと落差があるので、わかりづらい。まあそれが彼の性格だってことなんですけどね。でも特に前半、病院での仕事の描写が少ないせいか、そういう外面があんまし描かれてなかったので、余計にわかりづらいように感じた。
 あと過去のトラウマで人を信じるのが怖い、というのがよくわからん。結局、父に去られたことが過去のトラウマだったの?父のことを信じてたのに、というような記述がないし、トラウマトラウマという言葉ばかりで実がよくわからなかった。

 今回はなんかちょびっとだけ高遠琉加っぽい文体な気もした。
 あと「嘘でも優しいだろう」という攻めのセリフが、なんかピロウズっぽくていい(笑。

 桜城ややの絵がなんかちょっとびっくりするくらいデッサンがおかしい。もともとしっかりしたデッサンの人ではなかったけれど、それにしてもちょっと…という感じ。せっかくゴツい男CPで桜城ややなのに、あんまし色気もないし…。どうしちゃったんだろう…。

 『小説b-Boy』2月号には番外編が載っているけれど、これはいまいちだった。攻めの撮影と受けの元に帰ってのラブラブ話なんだけれど、映画の監督のエピソードがメインにある感じなのと、受けの決め台詞っぽいのがあざとい感じがしてしまった。

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