"読書/BL小説"のアーカイブへ


[ 読書/BL小説 ]

和泉桂『バロックの裔―無垢なまなざし』

 東京の東へ電車にのっていくと、バロックぽい城をかこんだ街がありまして、犯罪者の根城となっているのです。そんなバロックに育ったスリ見習いの少年が、都に出て最初の獲物に選んだぼんやりしてる華族さまは、少年がスったと知っているのに、再会したらおしることかおごってくれて、なんかそんなこんなで交流してるうちに、華族さまが家の問題でごたごたしてるのを知って、云々。

 もともとなんとなく面白げだけれどサブタイトルがいまいちだなあと思っていて、ちょっと嫌な予感もあったのですが、読んでみたところ結局あんまし好みではなかったので残念。

 最初からシリーズ展開織り込み済みなのはいいけれど、いきなり街の設定とか長々説明されたり、今回の話にはあんまし関係ないような設定も開陳されたり、キャラもあからさまに次回CPですよ-、という感じだったり、しばらく出てきませんけどこういう顔役いるんですよー、とかチラ見せされたり、あたしはこういうのちょっと萎える…。

 萎える原因には、バロックという街の設定のイマイチさもある気がする。説明されてて惹かれないんだもの。位置的にたぶんこれはTDL?ってのは面白かったけど(笑。あと全体的に、ファンタジーなのに設定の練りこみが甘い。たとえば犯罪者の街、というのはいいけれど、都にも犯罪者がいて、バロックの人間とは限らなくて~とか、なわばりとかないのかな。

 あと、キャラがなあ。主人公のスリの子はスリに向いてないかわいこちゃんなのはいいけど、人に迷惑かけないようにしてかえって迷惑かけちゃう、めんどくさいっぽい受けだし、いまいち魅力がない。一方では師匠にちょっと不義理がすぎる気もするし、キャラがよくわからなくなってしまった感じ。攻めの家に行ったのも、結局あんまし意味なかったし、なんか行動原理がよくわからん。あ、労咳展開もなくってもよかったような気が。
 攻め華族は、わりと長々とぼんやりなお人好しっぽく描写されてたのに、実は過去のトラウマから他人がどうでもよくてとか、そんな中で受けが気になってとか、唐突に饒舌にキャラ語られ出したり、受けへの不信感もなんかとってつけたような印象だったし、描写が足りないのかキャラまいごなのか…という感じ。

 ていうかあれだ、この話、別にバロックという街がなくってもいいんではないか???

with Ajax Amazon

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mayoiga.s6.xrea.com/x/mt-tb.cgi/2176

コメント

こんにちは

私も同じような感想でした。
作者が設定萌えし過ぎ・・・。
シリーズ展開が確定してるようなので、最初のカップルはおそらく「導入目的の捨てカップル」扱いですよね。キャラ設定がぶれまくりなのはそのせいでしょう・・・。
作者の本命が例の2人なのは明らか。うーん、「いかにも」でなんだかなあ。

>きくさん
こんばんは、コメントありがとうございましたv気づくのが遅くなり、すみません…(汗

>作者が設定萌えし過ぎ・・・。
そうですよね!作者の「ピカレスクロマン萌え」は、すごくよく感じ取れました(笑
「導入目的の捨てカップル」というお言葉にも納得です、うーん、シリーズ化はきまっていたみたいですし、連戦の予定だから主力バッテリーは出さずに温存、って感じなのでしょうかねえ…。

コメントを投稿

with Ajax Amazon