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[ 読書/BL小説 ]

鈴鹿ふみ『アクトーレス失墜―ヴィラ・カプリ』

 調教オンリーぽいので迷っていたのだがやはり読んでみた。

 犬の調教者=アクトーレスとして働くイアンは、恋人の死以来何者にも心動かされず、未亡人とあだなされている。ある時恋人の死の原因になった犬を殺したという容疑でつかまって、犬にされてしまい今度は自分が調教されることに。

 この設定で一体どう話を展開さすんだ…という興味で読み始めたのだが、確かに調教の連続ではあるものの、これがしっかりと構成が練られてて、そこにきちんと物語が存在しててとても面白かった。
 物語そのものはオーソドックスというか、調教という点をのぞけばすごく王道な展開。物語中でギリシャ神話についてもふれてるけど、つまりすごくわかりやすいんだろうと思う。
 あと設備や役職名にギリシャ・ローマ風の名称がついてるのも面白い。ここはどこなのか何時代なのか、など、どういう設定なのか途中までよくわからなかったけど、そのわからなさがむしろ面白かったし、付録の世界設定紹介も面白かった。
 バカ犬のシチリア人が面白いのだが、しかし彼の顛末を考えると、犬という位置づけとの落差がとっても面白い。このレオポルドの存在が、ヴィラという世界と外の世界とをうまくつないで/断絶させてると思う。
 調教そのものに関しては、調教表象にあんまり詳しくないので評価しづらいし、こんな感じなのかー、というか。イアンの足はとっても痛そう…つま先立ちはかえって痛そう…。

 しかし、だ。これ作者のサイトでアップしてるお話だったんですね…。うーん。面白かったからいいけれど。

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