藤森ちひろ『犬より愛して』
高校の同級生、実は獣医になってました×メガネリーマン。
同窓会で再会、久々にあった攻めはなんかそういう態度で口説かれたりするけどからかわれてると思ってる受け。
攻めは強引さと真面目さとかがなんかちぐはぐでキャラがよくわからない。受けは意固地であんまりいい感じを受けない。何より老犬をつれてわざわざ実家出て一人暮らしなんて、家族が犬につめたいからとかいっても全然納得できないし、思い返せば家族も結構犬の面倒みてくれてたんだった、とか後から気付いてもどうしようもないだろう。そういうとこもあって、自分の視点ばっかな印象。
お話も面白くないというか、なんということもないもの。
ペットの死をこんなふうに描かれると、そしてそれをとりまくお話がこんなにも脆弱だと、情けないやら悲しいやらだ。この作家は動物、いやペットを飼ったことがないのだろうか。それとも、自分が何を書いているかきちんと理解していないのだろうか。ペットの死をエッセンスとして徴用している物語、しかもそのエッセンスくらいしか語るべきところを持たない物語だとしかあたしには感じられなかった。
まあそもそもペットの死を描くことそれ自体に個人的にものすごい拒否感があるし、そういうあたしの個人的な感情は割り引くべきなのかもしれない。でもこのモチーフを使うのなら、たぶん描かれるべきは、攻めと受けとの感情における成長と発展で、それすらもあまりに稚拙な書き方でしかなかったと思う。ここでの感情のやりとりって、受けが攻めにやつあたりして終り、だし。あとの展開って、別のとこで起きてるし。だからやっぱりどうにも評価できない。というかもう正直あんまりこのお話のことは考えたくない。