小林典雅『老舗旅館に嫁に来い!』
引きぎみのタイトルで挿絵もニガテな漫画家だったのでスルーしていたのですが、「そういう」作風の作家らしいので興味を持ち買ってみた、のだが…うーん、結論(?)から言うと、後半は飛ばし読みした。
老舗旅館のあととりの旅行代理店勤務×日本文学を学ぶ留学生。
実家で不幸があり、旅館に戻って働いてたら受けが心配してやってくる。攻めが父に結婚して跡をつげとか言われたところに、受けがわりこんで女将修行をすることに。日本文化大好きだけどやっぱりアメリカンな受けは、偏屈な攻め父、攻めの婚約者と言われている女将志望の幼馴染などとの攻防の生活に。
コメディ作家とコメディが得意な作家はイコールではないんだな、と思った。主に文化の違いからくる受けのリアクションは、なんだか古くさいステロタイプの〈外人〉(〈外人〉という呼称の差別性が一般に理解されておらず、外国人が日本のこういう部分に触れたら驚いたり喜んだりするもんだろうというバイアスが今よりもキツかったころのイメージとしての外国人を、ここでは〈外人〉と表記しています)という感じで、別に面白いと思えなかった。なんか古いラノベみたいなノリという印象。
そのせいもあって受けのキャラ自体も、負けん気があって健気な頑張り屋さん、という感じだけであまり魅力が無い。一方の攻めも、受けが好きでちょっと嫉妬したりもする、というくらいしか印象に残っていなくてとくに面白みのない性格だなあと思ってしまう。あと攻め父とかも偏屈すぎ。
そんなわけで、コメディ部分にもキャラクターにも惹かれず、また物語自体も修行してるだけなので、あんまり面白くなかった。というか、ギャグもキャラの心情の揺れも物語の展開も、予測の範囲を超えないなという印象。悪い意味でのベタさがあるというか。