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[ 読書/BL小説 ]

高尾理一『鬼の王と契れ』『鬼の王を呼べ』『鬼の王に誓え』

鬼×鬼使い。受けが鬼怖い、戦い嫌、と、逃げてばかりで、性格的にもふつうで能力のほかは取り柄がないように読める。攻めも、受けがかわいいかわいいばかりで性格面の話がないし、性欲だけなのでは…と感じてしまう。なんかどちらにも感情移入しづらい。受け本家の総帥が殆ど出てこないけど一番魅力的なような…。
あと受け、攻めともに考えや性格がかわるのが唐突な感じがして、もう少し感情面を丁寧に読みたかった。
鬼関連の話もなんか深まりが感じられない。

文句をいいつつ2巻を読む。
1巻に伏線があったり、タイトルの鬼の王についての説明がやっと出てきたり、もともと続編ありの予定だったのかなあ。
受けは少し成長に前向きになってきたけど、依然としてあまり感情移入できない。受けの指導役みたいのが最初は受けの才能の無さをいびるばかりだったのが、最後の方で超おいしい感じになってきて(同作者の『下僕の恋』っぽい)、この人が攻めのほうがいいんでは…と思ってしまう。攻めも相変わらずで、受けの性格や意思は尊重しているような描写は増えたけど、ラストで勝手なことしてるのがわかったり、なんかやはり愛というより性欲な気がする。鬼だからそれでもいいのかなあ。

やはり3冊でひとまとまりな感じ。かなりシリアス展開で重い。祖先の話などに面白みはあるけれど、伝奇としてそう新鮮味があるわけでもない。
しかしキャラのほうが問題で、キャラの気持ちや考えの変化がみな状況から生まれたものという感じで、あまり感情移入できないというか、キャラがたたないというか。攻めは前半、人外思考丸出しで、かわいそうな感じと、しかし感情移入はできない感じで読んでてしんどいというか、伝奇の主人公としてはいいけど、恋愛物語の相手役としては正直きつい。後半の気持ちの変化はいいけど、最後のあたりはもう少し葛藤が読みたかった。受けの決断が、他に手段ないしーみたいな軽さがあって、いままでの固辞はなんだったのか…という感じで、このカップルはなんか感情移入しにくいし、あまりBLとして魅力がない。
それになにより受けの補佐役が気の毒すぎる。最後にむくわれたふうになっているがそういうのじゃない…という感じ。やっぱりこの人が攻めのほうがよかった…。

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