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[ 読書/BL小説 ]

高尾理一『龍と仔猫』

 ヤクザ×フリータ少年。

 実の父もヤクザ、母は女手一つで姉弟を育て、受けはヤクザが大嫌い。受けの姉はホステスになり、ヤクザのヒモにふりまわされる典型的なダメ男好き。姉がこっそりつくっていた借金の存在を知った受けは、借金の肩代わりを申し出た攻めの愛人になることに云々。

 受けが刃傷沙汰にまきこまれるとか、展開がところどころツルリとベタになるのが(なんというか、楽しめるレベルのベタさを超えているというか、あまりにスルっとベタになってしまうのです)今ひとつなんだけれど、でも全体的に筋もキャラもしっかりしてるし面白かった。
 普通に良くできてるお話、という印象。「由佳子に育てられたお前はヤクザが嫌いで、由佳子はヤクザが大好きってことだ。お前にヤクザを嫌うように仕向けたくせに、不思議な話だよなぁ」みたいな謎めいたセリフまわしとか、やっぱ巧いかもなあと思った。

 受けは最初は姉彼のヤクザにタンカ切ったりして、結構男らしかったんだけど、攻めが出てきてしまうとやはりそのマッチョさに対抗できず(キャラ的な問題か)に仔猫になってしまう。でもまあ結構かわいいです。
 攻めは不夜城に続き(なのか?)ワイルド系ヤクザで、結構受けをからかったりするところもあって、なかなかよろしい。
 姉がかなりムカつくのだが、でも同情してしまう部分もあって、ビミョウだ。姉に育てられたようなものって感じの受けが姉を嫌いになれないのは、正直あたしにはよくわからない部分もあるがそういうものなのかもなあとも思う。
 ヤクザの下っ端どもとかも、いい感じだった。

 あと実はかなりの年の差。いいねえ。

 しゅしゅしゅさんは絵がかわったよね。以前の絵は外科医×外科医(ハンター×ハンターみたいだ…え、あの漫画ってヤオイだったの?)みたいに、何をしててもギャグに見えてしまう、という最凶の欠点があったのだが、今の絵は全く個性がなくなってしまい、これもこれでダメダメだなあ…。もとからデッサンも線もいまひとつってこともあって、絵師としては全く好きになれそうにない…。

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