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[ 読書/BL小説 ]

榎田尤利『愛なら売るほど』

4862630421愛なら売るほど
榎田 尤利 高橋 悠
リブレ出版 2006-10-17

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 榎田尤利もものすごく人気作家らしいので、どこから手をつけたらよいのかわからず途方にくれていたのだけれど、とりあえず新刊を買ってみた…ら、アレ、ネット上の感想をいくつか見てたら、なんかこの作品はあんまし評価高くないの…?と、ガッカリしてしまってしばらく積んでたんだけれど、ちょっと前に読んでみた。
 面白かった。
 以下、たぶん、すごく言い古されてるだろうようなこと、を書きそうですが、まあそれもいつものことかと。

 これ一冊だけ読んでも、なんか、ものすごく、ものすごーく器用な作家ぽいね。よくも悪くも、って意味でなんだけれど、でもこの器用さはすごいね。

 高校時代の同級生、イケメンエリート広告代理店×レディコミ漫画家。
 受けはドラマ化映画化されるほどの超人気レディコミ、愛を捜して彷徨うデラシネ・麗奈が主人公の漫画『愛なら売るほど』の作者・キャンディ先生。へろへろの天然かわい子ちゃんで、同窓会で憧れてた攻めに再会、ひょんなことからその攻めと同じマンションに住むことになって云々。
 攻めは漫画、それもレディコミなんてバカにしきって…いつつ、『愛売る』の隠れ大ファン。
 …なーんて、設定も大筋も、確かにベタベタでありがちで、すべてが予測範囲内ではじまり、終る。だけれど読者的には、王道がゆえに王道で来て欲しいわけで。で、ここにこう来て欲しい!って展開を、欲しい単語・センテンスで本当にきっちりびしっと決めてくれるので、スゴイなあと思った。ここまでばっちり思った球が来る作家は、ちょっと他に見たことないや。ほんとに器用な作家なんだろうなあって思う。九分割で四種類の変化球が可能なピッチャーみたい(笑。なるほど人気なわけですな。
 キャンディ先生の担当×元小説家のCPも、設定も展開もこれまたベタベタだけれど、やっぱり見事なお手前ですなあ、と感心しきりで読んだ。

 そんなわけであたしは榎田尤利初読みだったのでそこらへんに感動してしまったのでしょうが、まあエクスキューズつけといたように筋とかはわりとどうでもいい感じだった。

 …のだけれど(笑
 いややっぱこれはズルイわ、漫画家設定はズルイ(笑
 攻めが『愛売る』の大ファンって設定が、ほんとにあたし好みで、もう本筋どうこうよりも、その攻めの『愛売る』ラブラブ描写だけでもすごくよかった…。
 『愛売る』に大盛り上がりの友人たちに冷たい視線を送って、「しかし、どこがそんなに面白いのかね『愛売る』の。子供騙しの展開に、大袈裟で古くさい演出……ギャグだよな。おまえたちもまさか本気で見てるわけじゃないだろ?」とかゆってる攻めが、雑誌連載までおっかけて、コミクス発売日にコンビニで取りおき分をゲットして、ニラニラしながらマンションの部屋へ戻り「さあ、いよいよダイブするのだ。真実の愛を探しに、姫女苑麗奈とともに」とか思っちゃうとことか、ほんとに気持ちよい。
 担当×小説家の方でも、小説家が無理矢理『愛売る』を読まされてドはまりしてしまう展開だけで、もうすっごく面白かった(笑
 …あたしはほんとに漫画家表象に弱いね(笑

 もう一つの漫画家シリーズ・ルコちゃんのお話は、今ゴールドでコミカライズ版を読んでるわけだけど、たぶんあたしはキャンディ先生の方が好きなんじゃないかなと思う。ルコちゃんはリリカルな作風で、キャンディ先生の作風はド大衆向けだから、たぶん。定型っぽい設定のほうが、戯画化するには面白いし、この作家があたしの感じたとおりの作風の人なら、やはりそういう定型キャラのほうが映える気がする。お話の面白さとは別にね。まあ、比べてみないとわかんないけどね。

 高橋悠は相変わらずカラーの目力がすごいなあ。

 まあ漫画家表象の話はおいといて、とりあえずこの作家はこのエクリチュールが売りか、あるいは少なくとも財産の一つではあるんだろうなあと思ったんだけれど、他の作品も読んでみないとですね。どの作品が一番有名なのかな。

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