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[ 読書/BL小説 ]

和泉桂『貴公子の求婚』

 SHYノベルズの新刊がならんでるのを見て、え…?お?おおっ?おお…!と思いました。
 ペットラバーズの新作に、姫君の輿入れの続編なんて、なんて素敵なんでしょ。

 ということで、姫君の輿入れで出てきた攻めの友人の貧乏本の虫貴族・小野朝家の話。
 いよいよ財政が逼迫してきた朝家は、家人らにやいのやいの言われて、嵯峨野に住むという知性派の姫に求婚することになってしまい、いやいや嵯峨野へ向かう。事前にきいてたとおりに忍んでいったら、なんか姫に押し倒されました、と思ったらすんごい美丈夫でして。

 とりあえず、朝家がキャラ迷子…前作でのキャラと今回のキャラもなんかちがうし、天然素朴なキャラと将久を毛嫌いしてるキャラもなんかちぐはぐ。
 蘇芳も朝家に惚れてるイケメン、というのはいいけれど、時々出てくる退廃的、という表現がなにを表現したいのかよくわからなかった。隠棲中という設定だけど、なんで世をすててるのかそういえば書かれてないし、なんかよく考えてみるとこの人もよくわかんない人だなあ。

 全体的には、受けの朝家がせいぜい十人並みの容姿で「書痴」というのは面白かったが、なんかそこここに無理がきてる印象でもあった。上述のキャラ設定とかね。なんか前作でも思ったけど、感情のうつりかわりがあんまり丁寧に書かれてないというか、あまり整理されてない気がした。まあそのほうがリアリティあるともいえるのかもしれないけど。物語の展開のために、前作の攻め実親が蘇芳と比較されたり、朝家にいろいろおしつけがましかったりして、ちょっとうすっぺらいキャラになってる気もした。キャラよりも物語を優先してる印象というか。
 あと歴史物ではよくあることなんだけど、半蔀とは…とか、いきなり現代視点の解説が入るのはしらける。そのへんうまく挿絵とか入れて言葉でなく説明してくれたらなあと思う。折角ラノベなのだから、挿絵を活用したら世界観をこわさず進められそうなのに。

 ていうか挿絵なのだが、キャラ自体はイケメン蘇芳と平凡朝家はすごくピッタリだったのだが、着物がぜんぶまっしろで、手抜きすぎだ…。できれば文様を、少なくともトーンでかさねを表現してほしかった…ていうか、きちんと確認してないけど、束帯も狩衣もみな一緒だったかも…。

 …なんか文句多いけど、全般的にはふつうに面白かったのです。いや、ほんとに。婚礼奇譚集とめいうったシリーズになったみたいなので、次回も楽しみです。親王の降嫁でしたか。親王は攻めかしら受けかしら(笑、もはや嫁だから受けという判断は出来ないので、想像がふくらみまくりです。

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