山田たまき『ゴールデン・アワーズ・ショウ』
代議士の息子だが自活してるカコイイ系大学生×田舎出身の健全大学生。攻めは古い家で下宿を経営してて、受け他三人の学生と一緒に堅実に暮らしてるのだが、土曜の夜はドラァグクイーンのバイトをしている。
攻めがドラァグクイーンという設定に惹かれたのだが、この設定はただ派手なだけであんまり活きていない気がする…。代議士の家というバックグラウンドにしばられたくなくて堅実に暮らしてる攻めの、自分が別人になれる場っていうだけだし(だけ、と言ってしまっていいと思うのだ。そんな攻めは受けの健全さに惹かれるのだが、しかしこの受けもつまりはごくふつうの大学生なので、なんだかあんまり魅力があるわけでもないし。ふたりがくっつくにあたっても、心情の変化とかがしっかりかかれるわけでも、大きな事件があるわけでもないし、お話としては地味で短いものだという印象。
ところどころに面白くなりそうな描写はあるものの、全体としてはいまいち。文体がややスノビッシュだが面白げなので、他の作品も読んでみたいとは思う。
柏倉大学の名前の由来はなんだろう。モデルは多分早稲田だろうけど。