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[ 読書/BL小説 ]

夜光花『ずっと君が好きだった。』

 これは先月読んだ。いや、読んだといえるかどうか…。でも『七日間の囚人』より先に読んだことは読んだ。

 高校の同級生、公務員(だったっけ?)×劇団員。

 硬派な攻めに告白されて、男とは恋愛できないと思いつつ、こんな真面目な奴と友達になりたい、とか思って引き止めちゃう受け。五年間好きでいてくれたらほだされるかもよ、とアウトオブ倫理なことをゆって友達づきあいしはじめる。五年後には受けは攻めにべったり依存のダメっ子親友になっていたけれど、約束のことはすっかり忘れており、もうしんどいのでお暇させていただきますとか言い出した攻めに焦って恋人になることを了承して云々。

 たしか結構長い話だったのだが、読んでて辛いとこが多かった。
 受けはニブいしダメっ子だし、五年間待ってた攻めに彼女の話ベラベラしてたとか、攻めとつきあうことになって彼女と別れるときもグダグダで、なんかあんまり感情移入できない感じ。その成長の書かれ方も、後述するような冗長さのせいで、なんだかイライラさせられてしまって、冒頭の無神経さとあわせてやっぱりあんまり感情移入できないかんじ。
 攻めは攻めで、受けが大好きで何年たっても思い切れない、ってことしか書かれてなくって、なんだかよくわからんキャラだったというか、ノンケの受けに惚れて辛い、という機能面でしか書かれてなくて気の毒というか。だからなのか、後日談のドラマの話とか、アレ?そんなキャラだっけ?そこで喜ぶキャラだっけ?とか違和感があって、ああこのキャラは本編内で描写薄かったんだな、と改めて思ってしまったりした。

 あと、受けの劇団関係の話が無闇に丁寧に描かれていて、しかしあんまり面白くなくってその辺はわりと飛ばし読みしてしまった。別にメインの筋以外のエピでも、面白ければいいんだけどね。もしくは、メインの筋に絡んでそれをきっちり引き立てる、とかね、そういうエピならいいんだけどね。この劇団関係のエピは、受けの女装役にかんするエピの過剰さとか、無用な描写も多いし、メインの筋との絡み方については、たとえば劇中でのキスシーンの話とか、受けの無神経ぶりプラス気付き・成長を提示していく感じで、必要性はわかるけどそれでも冗長な印象。

 なんだろう、攻めを五年間待たせたり、引き止めるために恋人になったりという設定は面白かったのだけれど、劇団という傍エピと、それを利用してのメインエピ=恋愛物語の進め方がイマイチだった印象。受けが劇団員設定じゃなければ、もっと面白かったかも。

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