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[ 読書/BL小説 ]

水原とほる『青の疑惑』

 メガネ整体師が、近所のヤクザのあととりと顧客の県警の刑事に懸想される話。メガネ、もとい、整体師は過去の手痛い経験から恋愛はするつもりはなく、どちらもかわしつつ微妙な均衡がたもたれている。しかしメガネ、もとい、整体師が整体院の近くで死体を発見したことから事件にまきこまれ云々。

 アマゾンレビューでラストまでCPのさだまらない三者と知ってがぜん興味を持ち読んだら、まさにそのとおりで面白かった。刑事とヤクザはそれぞれかっこよくダメなとこもあって魅力的で、メガネ、もとい、整体師のかかえる傷も納得できる感じだし、お話もしっかり面白かった。

 メガネ、もとい、整体師の特殊性癖はビックリしたが、設定としてはよかった。それがうまく活かせる展開でもあったし。
 ただ…、しかし、作者も後書きで書いてるのだが、攻めが生ぬるくて非常にもったいない…。いや、ハードプレイがすきというわけではないのですが、受けの過去や性癖を活かすには、もっとド鬼畜なプレイをしてくれないと…。
 で、この特殊性癖プラス攻めがふたり、ということで、ひとりめとはまあやや強引だったけどそういうキャラとして読めるのでともかく、ふたりめとはどういたすんだ、とくにひとりめとしてしまった後で…と思ったのだが、事件とからめてうまく二人ともとそれぞれいたす展開につくられてて、話づくりがうまいなあと思った。
 三者もの(って言葉があるのかどうか…なんて言ったらいいんだろう)ってやっぱり、純粋に話の作り方が難しいんだと思うんだよね。二人の相手にたいして平等になるように、一人の感情をふりわけて、いたす順番(笑)も考慮して、それらが自然に感じられるように展開をくみたてないとなんないわけで。個人的に三者関係のお話に興味があったのもあるけど、結構うまくつくられてると思ったし、とても面白く読んだ。

 絵がきれいだな。こういう絵柄だと往々にして、きれいなだけで、キャラの顔がぜんぶにてるとか顔がよくわからないとか、そういうジレンマに陥りがちな気がするのだけれど、でもキャラもしっかりかきわけてていい。
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 ところで、これを読んだことで、この月のキャラ文庫新刊をいまさらながら全制覇してしまいました。ときどきこういうことがあると、微妙な感慨をおぼえますね。
 個人的な満足度としては、『幸村殿』>>『青の疑惑』>>>>>>>『アパルトマン』>>>『檻』、という感じかと。

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