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[ 読書/BL小説 ]

魚谷しおり『優しい偽者』

 総務の新人ワンコ×経理のモサいメガネ・実は美人。
 受けはある日突然ワンコに呼び出され、不倫中の課長?と別れてください、とか切り出される。ワンコはある筋の頼みで課長の素行調査をしてて、二人の不倫に気付いたのだった。受けは課長に全く未練はなかったので即了承、しかしワンコはお辛いでしょうが、とか自分でよければ相談に乗りますよ、とかとんちんかんなことを言ってしつこく受けにつきまとい、受けはブチ切れ、じゃあお前が恋人の代わりをしろとせまって云々。

 ベタだけれど結構面白かった。
 なんというか、普通にBL小説の秀作という印象。この書き方では、あんまりほめているようには聞こえないかもしれませんが…(笑、激賞は出来ないけれど、きちんと楽しませてくれた作品、というか…アレ、やっぱり偉そうですか。

 攻めの解釈コードがあまりに健全というか一般的で、受けのことを全然理解出来てないありようとか、それにイラつく受けとか、そんななのに互いに受け入れていってしまうありようとか、面白かった。
 受けの屈折ぶりとか、美人って言われるのがイヤなこととか、潔癖症とかの原因となっている過去の事件は、ちょっと半端というかものたりないきもしたけれど。まああれ以上重たくなっても収集がつかなくなってしまったかもしれない。
 受けが横領事件にまきこまれるあたりは、まあ容易に展開の想像がつくというか、もうちょっと複雑でもよかった気がする。でも想像の容易な事件で、しかし周囲に興味のうすい受けはそれでも全然わかってなかった、ってのもミソなのかな。
 元不倫相手は…なんか、よくわからなかった…最後にあんなことをする権利は果たしてこのキャラにあったのだろうか…。

 タイトルがなあ。いまひとつ。

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