砂床あい『被虐の檻』
ねたばれぎみです。
父がたおれてしまって社長代理になったボンボンは、冷徹な教育係の秘書に兄との関係を見咎められて、社長をめざすのにスキャンダルはまずいから、自分が抱いてやるから我慢しなさいとか無茶いわれてご無体されまして。
うーん。なんというか、カタルシスのない話だったなあ…。
美しい双子の兄は母にひきとられ、自分は父に愛情をかけられずに育ち、母に愛されたい父に認められたいと思いながら、恋もせず(おそらく友人もおらず)孤独に生きてきて、誰も助けてくれないから痛みを感じないようにしてるうちにMになってしまったという、結構かわいそうな受けだと思うんだけど、あとから兄はもっとつらい目に合っていてとか、父は受けにどう接したらいいのかわからなかっただけでほんとは受けのこと思ってたのよとか言われて、受けは当初は自分のことしか考えてなかったよねとか反省させられたりで、なんだかかわいそう…(笑。
両親や兄はこういう設定でも別にいいんだけど、なんというか、受けが攻めとくっつきつつも、受けの辛さが攻めに受け止められて癒される話ではないので、カタルシスに欠けるんだろうなあ。
攻めは受けは最初はほんとにダメなこだと思ってて、でも次第に頑張る様子にほだされた、というだけで、受けの辛さを理解したという描写じゃないんだよね。お父さんはほんとはあなたのこと思ってたんですよ(あなたは自分のことばっかりでわかってなかったけどね)とかじゃなくて、愛情を感じられずに孤独でしたねでもこれからは自分がいますから、とかになんないのかなあ、と(笑。なぜMっぽいのかとかもわかってないみたいだし、これからは痛みではなく優しさを与えてあげよう、とか思ってほしいのに、気持ちが通じ合ってもSっぽさ残ってるもんなあ。
まあ、そういう受けにキビシイ話だってことならそういう話でもいいんだけど、物足りなさが残ってしまってるし、だからそのあたりの展開のきびしさは作者は無頓着に書いたのかなあ、という気がした。受けの過去にキビシイのなら、何か他のアメをあたえてあげてほしかった、という感じかも。
絵は…いや、単体では別に普通なのかもしれないけど…ほんとに鬼塚征士なの…?なんでこんなに絵が変わっちゃったの…???