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[ 読書/BL小説 ]

遠野春日『砂楼の花嫁』

 2007・BL小説ベスト10を訂正しました。『溺れる戀』ではなく『愛してると言う気はない』を追加しました。

 な、なんという盛大な地雷設定…。

 アラブ某国皇太子兼外交担当×東欧某国近衛兵。
 外相警護隊の長となって訪アラブした受け。隣国のテロ組織による爆破事件に関与した疑いで拘束されるが、攻めが庇って自邸に引き取り云々。

 まあまず冒頭から、父が日本人で、両親亡き後ひきとられた先の名門貴族の一族から疎まれてて、小柄めで細い外見とか、家柄で出世してると思われてるせいで軍内部でもはぶられてる孤独な受け、がオーラのすごい攻めを見て惹かれちゃうとか、今まで異性にさほど心を動かされずにいまだ独身の攻めが、一目みただけで受けが気になってしょうがないとか、なんか手軽に運命チックなのでちょっとなあ、ってとこはあった。あと攻めにそっくりな弟は何か重要な意味があるのか、なさそうだなあ、とかも思ってた。
 でもまあかわいそう受けは好きだし、この辺りはさほど気にせず読み進めていたのだが、受けが服の下にある秘密を隠してて、という辺りでちょっと嫌な予感がしてはいたのだ。

 しかしまさか本当に半陰陽ネタでくるとは…。
 今まであんまり意識したことなかったけど、あたしこれ超地雷ですわ…。あんまり意識したことがなかったのは、BLでこのネタを読んだ事があんまりなかったからだろうと思う。全くないわけじゃないけど、そんなにメジャーではないよね。すぐに思い出せるのは『SEX PISTOLS』くらいだし、あれは人工だからちょっとまた違うし。
 どうなんだろう。これ地雷な読者は結構いるんじゃないのかなあ。せめて梗概でほのめかしといてほしいと思ったんだけど。結構みんな平気なのかなあ。

 というわけで、正直ほんと参ったのですが、この設定でエロはどうするつもりなんだこの作者、と気になったので、ちゃんと最後まで読みました。…微妙にBLのワクにおさめようとしてるような、けどやはりそのネタにふれないわけにもいかないのだろうなという感じで、最後の場面とかしんどいなあ…正直、もうほんと勘弁してくださいって感じでした。うーむ。

 お話に関しては…、受けが軍人てことがほとんど活きてなかったねそういえば。射撃がうまいくらいか。でもそんなことどうでもいいっていうかなんていうか。

 円陣さんの絵は超美しかった!軍服の麗人の横顔なんてもう最高。

 追記。上記はあるいは差別的な言説だと受けとられてしまうかもしれないと思ったので、ちょっと弁明ならびに補足をします。
 この設定が嫌だったのは、あたしがこの話をBL作品として読んでいたからです。受けを男性として描写したり、女性として描写したりされると、つまりは所々でただの男女もののエロになってしまうわけです(設定だけではなく書き方の問題でもあるのかもしれませんが。男女もののエロそれ自体がダメというよりは、そういうものを予期して読んでたわけではない(=BL作品として読んでいた)がゆえに拒否反応を感じたのだと思います。

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