榎田尤利『ひとりごとの恋』
鳥人ヒロミの絵と、このタイトルにすごくワクワクしてしまったのでした。
のですがしかし。
ずっと好きだったノンケが結婚・離婚、受けのマンションにころがりこんできたら、なぜか弟もついてきました。当然のように弟=攻めに襲われたりなんだり。
勿論、受けのノンケ兄にたいするせつなーい内面とか、そんな受けを強引にしかしやさしくまるめこんでくれる攻めとか、そういうのを期待してたし、まあそういうのもあったし、面白くなかったわけではない。
何が不満なのか、と考えても、何が不満なのか…しかしこの不満な感じは『Stepbrother』の読後感と似てる気がする。両者の共通点は、物語の後半から末尾で、なぜか第三者とかが急にでばってきてしかもものすごい存在感だったり饒舌に語ってしまったりするので、アレ?となってしまうとこ、な気がする。
この『ひとりごとの恋』でも、受けの恋してたノンケ兄がでばってくるのは仕方ないにしても、受け家族のエピソードも必要なものだとしても、それらの比重があまりに大きいし、末尾を受けの家族にしめさせちゃうのは、なんだか違うでしょ、と思ってしまった。受け家族は恋愛を基本として考えた時にはかなり関係ない存在だし、もう第三者(ノンケ兄がこれにあたる)ってか第四者くらいでしょ、と思うんですよ。ノンケ兄の妻の描写とかも、妙に過多だったような気もする。
あと、一人称もダメだったのかも。タイトルからしても、一人称語りなのは仕方ないと思うんだけど、『交渉人は黙らない』もそうだったけど、饒舌にすぎる語りだなあと思った。
うーん。しかし途中までは面白かったとこも結構あった気がするのだが…これも結構前に読んだので、わすれてしまった。すみません。
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そんなこともあり、この作家の一人称語りとか群像とかってニガテな気がしてきました。群像で言えば、『少年はスワンを目指す』もあんまり面白くなかったのです。絵が寿たらこなのに…(涙。