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[ 読書/BL小説 ]

いとう由貴『そして、裏切りの夜が始まる』

 女手一つで兄弟を育ててくれた母が亡くなり、某ちょう金持ち企業体の社長さんの子である異父兄弟の弟も事故で植物状態になってしまって、高校やめて働いてはみたけれどもう打つ手がないのです。
 そんな折、病院のテレビで弟の父の一人息子が亡くなったことを知ったのですが、血族で経営をつづけてる社長さんとしては、弟の存在を知れば後継者として欲しがるだろうに決まってるのです。なので受けは、弟のフリをして社長さんに訪ねに行き気に入られ、兄(ほんとは弟)の治療費を工面して貰おうという大胆な計画をたてるのですが云々。

 大胆な計画すぎて、物語の中のことながらハラハラした(笑。DNA検査までするし。
 なんでわざわざ弟のフリをするのか、単純に息子さんの治療費出してくださいじゃあダメなんか…と思ったけれど、ちゃんと入れ替わりが必要な理由は書かれてたしまあ納得もできたのでよかった。

 攻めは社長のかなり年下の義弟で受けと同じく愛人の子、一族ではへらへらしてると見られてるけど結構社長は重んじてて、受けが本物かどうか見極めさせ、その後目付役にさせる。攻めは受けの入れ替わりに気づいて、黙っててやるかわりに身体を好きにさせろ、とか言って、実は大きな計画がありまして。
 最後のところで一瞬、攻めの計画が黒すぎるのではとドキリとしたが、流石にあれは計画のうちではなかったのでよかった…。

 というわけで大筋はBLよりも入れ替わりのドキドキを楽しむ感じで、それも結構あたしは面白かった。なにしろこの入れ替わりはいつまで続くのか、いつ受けは自分に戻れるのか、ていうか最後どうすんのか、弟が目覚めるのか、受けはどうやってこのにっちもさっちもいかない状況から逃げるのか…とかいろいろ思ってたんだけど、意外でもあり順当でもあるラストだった。この作家、結末が大抵(たぶん無自覚に)容赦ないよね(笑。そういうところが好きです。

 BLとしては、これは実は意外にも攻めかわいそうもので、愛など知らない攻めが受けにほだされるという王道で、かなりあたし好みです(笑。王道ながら、受けが攻めにつくしまくって心を癒すというような王道ではなくて、受けが弟のことをすごく大事に思ってるのを見てイラついたり、受けの他愛ない手料理に執着したり、と、かわいそう度が高くてとってもいいです(いつもながらひどい感想だ。
 けどやっぱりそんな攻めが受けへの愛を自覚して受けに癒される、という部分まで読みたいわけで、この攻めは無自覚なままなので、ちょっと物足りない。ていうか受けの方でも、最後まで攻めへは反発と同情しかなくって、クロエ用語で言うところのエヴァ最終話系というか、え、あとページこれだけしかないのに、受けは攻めへの愛を自覚できんの?と焦っていたら、ほんとに同情で終わってしまったので、とっても物足りないのですよ!!
 二人とももうちょっと幸せにしてあげてほしかったし、後日談とか入れて欲しかったなあ。

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