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[ 読書/BL小説 ]

高尾理一『ワイルド・ワイルド・ウエスト』

 あっ!70000HITしてました!
 閲覧してくださった皆様、ありがとうございます!

 ええと、そんな機会に。
 これは大量に読書をして感想を書くのが追いついていなかった時期に読んで、感想を適当に書きたくなかったので後回しにしていたら一年以上たってしまいました、というテクストのうちのひとつです。ざっと読み返す機会があったので、周回おくれでもうpしてしまいます。

 というわけで、高尾理一にハマった頃に読んで、『夜に濡れる蝶』の次に気に入ったのがコレでした。
 だって、テキサスの自信満々強引カウボーイ×日本から来たツンデレメガネ美人、というCPから『既に』ッ!、どう考えてもあたし好みではありませんか!

 上司の娘との見合い結婚が短い期間で破綻、その結果リストラされちゃって傷心のアメリカ旅行中の受け。大統領の牧場を見に行こうと車で走っていたら、攻めの居る牧場の杭にぶつかって壊してしまい、それをなおせだなんだと因縁をつけられてしまいました。牧場主の老人は来客に喜んじゃうし、まあヒマだしということで、雑用をしながら牧場に居付いて(居付かされて)しまう受け。攻めは「カワイコちゃん」とかゆって口説いてくるけど、無視です。ところがそんな折、となりの牧場のバカ息子に老人の借金の件で因縁をつけられて、云々。

 キャラがすごく魅力的でよいです。
 攻めは一見定型ぽい強引攻めなんだけど、とりたててちょうイケメンなわけでもエグゼやセレブでも超人的優秀男でもなく、むだに大ケガしたりプライドから受けにひどいこといったり、けれどそれでも憎めない、人間くさいとこがいいです。たぶんそういう人のよさみたいなのって、書き方やエクリチュールのおかげな気がしますが、書き方が巧いというより(勿論巧くもあるのでしょうが)たぶんあたし好みなんだろうなと思う。
 受けなんてわりかし定型なツンデレで直情で、すぐに手が出る暴力美人なんだけど、すごく魅力的。基本真面目なんだろうなと感じられるところがよいのかもしれない。
 それで思い出したのだが、すこしまえに「ゲイ&腐男子のBL読書ブログ」さんの記事を拝読してて思ったのだが、高尾理一の理屈っぽさというか論理的なとこというか、ある意味真面目なところが、あたしは好きなのかもしれない。

 しかし、『百年の恋』の攻めにかんする評言もたいがいすごかったけど、この『ワイルド~』も、「自信過剰は鼻につくし、デリカシーのないところにはしばしばカチンとさせられる」だとか「プライドが高くて、強情で自信家で、下品で率直で大雑把、デリカシーが欠如しているような男」だとか、攻めにたいしてひどすぎる(笑

 お話も、恋愛面は勿論面白いし、隣りの牧場とのすったもんだや牧場主の老人の病気とかもありつつ、それぞれの要素がしっかりと活かしあった物語が一本にきちんと編まれてて、よい感じ。

 あと、アメリカものなので、この作者の得意(当社比)な翻訳体みたいな会話文もバリバリに活きてます。
 親切のお礼にキスをねだる攻めをかわしてたのに、酔っぱらってキスを受け入れちゃった翌日の会話とか、「あ、あれはツケを返しただけだ。ま、まとめて返したんだ。次なんてない」(略)「ふぅん。お前のツケの返し方、俺は気に入ったぜ。でも、あれをやるときは、酔ってねぇほうがよさそうだ。お前はいいけど、お預けを食わされる俺が大変だからな」なんてとっても翻訳体(風

 雪舟薫の絵もキレイですv

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