高尾理一『落花の褥』
本当にお疲れ様でした。感動をありがとう!
なんか昨日はサーバが落ちてて更新できなかったうえ、ベトナム記はぜんぜんまとまってないのでまた明日!
明治中期、ハーバードに留学中の華族嫡男。あこがれの美術商のお兄さんから、実家がヤバいことになったので、融資するかわりに自分の妻になれとか言われて云々。
梗概から、攻めの暗躍が暗示されてたので、実家の没落も美術商のウソかも、とか思いましたがさすがにそこまでウソツキではなかった。
内容は全般に、ごく普通の没落華族嫁入りもの(果たしてそんなジャンルがあっていいものかと思うが、これって一ジャンルになってるよなあ…)だった。時代描写もいまいち甘いし、キャラ設定も明治時代のキャラとしての描写(言葉遣いとか考え方とか)も物足りないし、そもそもふつうにキャラにあんまり魅力がない感じ。
攻めは美術商という仕事がぜんぜん活かされないな。強引傲慢で、しかし周囲の人によればかなりの不器用人間らしい、ということがわかってくるあたりはいいのだけれど、結局その不器用さが受けに伝わるのがかなり最後のほうで、かわいげある傲慢不器用攻めっぷりがあまり書かれなくてかわいそうにという感じ。
受けはあんまり特徴もないかなあ。男の身で妻にされてみて、女性にたいする抑圧をまざまざと実感するあたりはジェンダーものとして多少興味深いが、それでいながら最後には妻という立場をあえてまるっと受け入れちゃうのも面白いのだが、その間にある契機が攻めは実はいいひとかも、という点だけなので、いまひとつ。