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[ 読書/BL小説 ]

鳩村衣杏『ドアをノックするのは誰?』

 大学教授×リーマン。

 献身的過ぎる受けにとまどう遊び人攻め…ということだったので、受け視点だとは思ってなかったのでちょっと驚いた。まあその後、視点は入れ替わりですが。
 年の離れた弟妹の面倒を一人で長年見てきた受けは、弟が北海道に転勤、妹も結婚が決まって手が離れたのを期に大学のケルト講座を受講、その講師だった攻めに食事に誘われ口説かれる。一気に面倒を見る相手が居なくなってしまって淋しく思っていた受けは、自分は尽くす相手が欲しいしその対象は別にこの人でもいいんではないか、と即判断して攻めの申し出を快諾、呆気にとられつつ喜ぶ攻め。攻めは受けの家に招かれたり手料理でもてなされたりしてくうちに受けに本気でのめりこむものの、受けが浮気容認発言をするに至ってあれ?変じゃね?と気付いて、云々。

 ライトなコメディで文体もほどよく軽妙で、面白かった。
 受けが申し出を受けてから家に攻めを招く日までにケルト文化や大学教授という職業、はてはゲイセックスについて丹念に勉強していたあたりとか可笑しい。オチも適度にベタでよかった。

 ただ、オチがついてから後とか後日談とかが、なんだか受けが急にわがままで、それは別にいいんだけれど程度問題というか、描写の問題なのかもしれないけれど、なんだかイマイチだった。
 あとわりとどうでもいいけれど、アクションシーンというか、人を殴ったりする場面に妙に違和感があり、ちょっと変。

 佐々木久美子は挿絵では初めて見た気がするけれど、結構いいかもと思った。

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コメント

遅いコメントで…(汗
クロエさんのレビューを読んでて、あ、これは「来る」かも! って強烈に思うときがあって、
買いました。やっぱり来ました(笑

設定の妙ですねー。ほかジャンルでもいけそうな。
「あれ? 変じゃね?」までの面白さに比べ、後半ややフツウだったのが残念ですが。

でも夕飯ににんじんのピーナッツ和えを作ってしまいましたよ(思うつぼです)。

>マリィさん
コメントありがとうございます!いえいえ、ちっとも遅くないですよ(それに遅くっても大歓迎ですよ!
気に入っていただけたようで、うれしいです。でもやっぱり、すごく面白いのは前半なんですよね…(笑。設定勝ちなのかもしれませんが、描写とかも結構面白く(前半は)読んだのですが…うーん。

にんじんのピーナッツ和え、わたしも美味しそうだなーと思って読んでました。でもやっぱりゴマは入れないほうがおいしい気がします…(笑、デブまっしぐらですが。

>描写とかも結構面白く(前半は)読んだのですが

そうそう!
最初の割烹での会話とか、なんか総てがちょっとずつ異常で「この作家さんスゴイ人なのかも!」と思いました(笑

でもBL小説って、いつもある程度はお約束を賞玩してる気がするので、
お約束になっちゃって残念、というのは新鮮な感興でした。

以前レビューなさってた喫茶店マスター受の話を探しているのですがみつかりません。。。

>マリィさん
うんうん、まさにそんな感じですよね>総てがちょっとずつ異常。
受けの思考回路がおかしいのは勿論、初対面から手料理の夜まであたりの攻めの振幅も、描写が細かいし、視点人物が変わっても違和感ないし、わたしは面白いと思いました。

あと、お約束を楽しみたい気持ちはあるのに、お約束になってしまってつまらなく感じることがある、というのは、なぜなんでしょうね。その境界に何があるんだろう、ってすごく気になっています。

ギャルソン、確かにあまり書店で見かけませんね…なんとなくですが、新書よりも文庫の方が、棚から消えてしまうのが早い気がします。…でも気のせいかもしれません。

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