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[ 読書/BL小説 ]

池戸裕子『砂漠の王は愛を夢見る』

 何というか、悪い意味でファンタジーなアラブだった。

 ある国の砂漠を支配する主ということで、あんまし金持ちではないアラブものというのはちょっと斬新だったが、斬新ならいいというものではない。
 砂漠の一族の王は、占いかなんかで選ばれた男女が生んですぐにとりあげ英才教育、親の顔も知らずに育ち、愛を知らない気の毒なひとなのです…そんな無茶な伝統、どんなんですか。母をなくして父の消息をたずねてこの国にやってきた日本人旅行者は、なんか歌がうまいといわれてもてはやされ、砂漠の王にさらわれ儀式のために歌えとか言われます…歌はうまくないけど、心にひびくらしいのですって、なんかお手軽だなあ。王は受けが昔飼ってた仔馬に似てるとかでなんかご執心で、でも愛することを知らない王に抱かれて受けは辛くなってきて云々。

 催淫剤になる木の実とか、水浴び場の描写とか、なんか全般的に悪い意味で非現実的で、しかも非ゴージャスアラブなので、それぞれの要素はもしかしたらそんなにわるくないのかもしれないのだけれど、それらが重なってるのでなんかいまひとつ感がぬぐえない。
 お話も、恋愛物語もその他の民族間の問題とかあやしい家臣とか、あんまし面白くないというか稚拙な感じがして、前述のいまひとつさに拍車がかかってる感じ。キャラも二人ともいまいちだったし…。

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