"読書/BL小説"のアーカイブへ


[ 読書/BL小説 ]

榎田尤利『吸血鬼には向いてる職業』

 そんなに古い本じゃなかったのね。
 漫画家シリーズ。

 新人編集が変人漫画家の担当になったら漫画家は吸血鬼でした。
 前にも書いた気がするが、あたしは漫画家ものって大好きなのだけれど、これはなんか微妙にあたしのツボからはずれていた気がする。

 編集は執念の編集でオタクで、しかし美青年。漫画家よりも彼の描く漫画そのものに執着しているのだが、しかし血を提供してるうちにそういう関係になって、何時の間にか漫画家にホレてたあたり、よくわからん人である。恋愛感情そのものは祖母を失って天涯孤独になっちゃった寂しさとかから把捉できる気もするけど、やっぱりなんでこの吸血鬼漫画家を好きになったのかという点は説明不足な印象。あと、漫画に異様に執着するコミカルなキャラクターが、なんだかあざといというか、面白さを過剰に演出しようとしている意図が透けて見えちゃうというか…。
 一方の漫画家は、血のおいしいオタク編集を好きになるというのはわかりやすいけれど、しかし編集としての彼にどのような感情をもっていたのかがいまいちよくわからない。他の編集とは違う、というふうに差異化しつつ、そういう一風違った彼はじゃあ自分にとってどういう編集なのか、という位置づけはなされないままだから、結局恋愛感情以外の面はやはりよくわからない。

 なんというか全般に、吸血鬼漫画家×漫画大好き編集のコミカルさと、吸血鬼漫画家×孤独編集のラブとがしっくりきてない感じ。特に後者は、わりとよくある吸血鬼と人間のファンタジーやラブストーリーの典型で凡庸な印象だし、ファンタジーとしてもBL作品としても、いまひとつ弱いかな、という印象になってしまっている気がする。

 あ、でも、吸血鬼が漫画はひまつぶしのために描いてる、とかいうとことかは面白かったし、人間になる猫とかはかわいくてよかった。「呼べないのよさ」も可笑しかった…でも外科医呼ぶんなら、朝田龍太郎でしょう!(笑

with Ajax Amazon

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mayoiga.s6.xrea.com/x/mt-tb.cgi/1273

with Ajax Amazon