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[ 読書/BL小説 ]

いとう由貴『灼熱の牢獄』

「入稿しろペッシ!
 “入稿”しなきゃあオレたちは“コミケ”に参加できねえ。
 他のサークルに申し訳がたたねえ!」

 しました!兄貴!

 施設育ちで内向的だった受けなのですが、男の恋人ができて幸せになれそう…とか思っていたら、恋人がアラブの王族の女性と関係をもってしまったとかで、宗教上結婚しろと女性の兄がやってきて、受けを犯して恋人の気持ちを覚まさせるという暴挙に。心身ともに傷ついた受けは、やがてニューヨークで高級男娼として生計を立て始めたのですが、なんかあのアラブ王子と偶然再会してしまいまして、しかもお買い上げされてアラブに連れて行かれてしまいまして。

 これは…かわいそう受けというか、無茶苦茶攻めといおうか…これまた、ひどずぎる…(笑
 受けはいっこも悪いことしていないのに、攻めは受けの初体験を犯して奪うわ再会しても気づかないわ、尊厳を奪うようなことばっかり、本当ひどいことしかしていない(笑、いや笑い事じゃない。しかもアラブに連れて行ってからも、受けの内面とかに惹かれてく…とかいう感じでもなく、ただ執着は強くなっていきます、という感じ。
 受けはただただ最低な攻めにひどい目にあわされていて、もともと気丈なまっとうな受けなのかな、という感じなのだけれど、相手はアラブで王族で、価値観もなにもかもが違いすぎてついていけずな感じで、こういう話によくある、こんなひどい攻めだけれど次第に惹かれていって…という流れが無いので、読んでてちょっとしんどいというか、受けが本気で心配になってくる。まあこんなひどい攻めでは惹かれようがないよね!

 しかしまあ、この作者のひどい攻め・かわいそうな受けの話は面白いことが多いし、これだけひどい攻めもまあたまにはいいかな…という気もするのですが、オチというか末尾の二人の結びつきがちょっと物足りなかったような。互いに相手を選ぶ理由がちょっと弱い、というか主に受け側の理由なんだけど。まあ、繰り返しになるけれど、あの攻めでは仕方ないとも思うけどね。ただ、やはりこの作者には、その大きなへだたりを乗り越えるような説得力のあるクライマックスを書いて欲しかったなあ。取ってつけたように、最後の二行くらいがああだったけれど…取ってつけた感があったよなあ。

 あと、基本受けも攻めも、設定があんまししっかり書かれていないというか作られてないのかな、という印象で、奥行きがうすい感じがした。たとえば受けは、施設出た後何してたのか、どこで恋人と出会ったのか、受けは内向的だったというけど具体的にどんな感じだったのかとか、そういうとこがないのでなんとなく設定だけの書割っぽい感じがあったのがちょっと残念。

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