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[ 読書/BL小説 ]

愁堂れな『帝王の犬―いたいけな隷属者』


 風俗店経営者のひとり息子で勉強のためにマニアックなSMグッズ店を経営してる大学生、ある夜ドSにともなわれたMがおしおき羞恥プレイで来店してから気になって仕方ない。
 そのMは受けなわけですが、弟に負い目がある受けは、弟のために、弟が所属している劇団の主宰で脚本家みたいなドSに飼われて壮絶な犬扱いをされてる。
 ところで攻めが偶然友人になった劇団員(男)に告白されてたなんてこともありましたが、それって勿論受けの弟ですよ。

 …という、かなりかわいそう受けが期待できる梗概で、まあかわいそう受けはそこそこ楽しめました。が、しかし。

 なんか文体とかエクリチュールがダメだった。攻めサイドと受けサイドを交互にいれてんのにだんだん受けサイドのエピが攻めの後追いというか、二つ前くらいの話の後追いになってたりすんのはなんだかお話が進まないし、そういう遅延が活きてるわけでもない。受けサイドは更に、ポエム化したり、あとたびたび出てくる「犬」という単語の前にダッシュ入れてたりと、いろいろキツい。この内容でタイトルに「いたいけ」という語を選択してしまうあたり、エクリチュールとの一貫性はあると思うが、わたしの好みではないのです。ポエミィなのだ(ポエティック、ではないんですよ。

 あと、『劇団魔界』って劇団名は…とか思いつつ、あ、主宰の名が『真欧』だからか、と気づいた瞬間いろいろな思いが去来した。

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