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[ 読書/BL小説 ]

木原音瀬『美しいこと(下)』

 仕事を早く終えてお買い物でもしようと思ってたらコレを見つけてしまって、そのあとの予定がすべてワヤになりましたよ!

 会社のさえない男・寛末に女装した姿を見られた松岡は、熱烈に口説かれほだされて寛末を好きになってしまったけれど、男だとバレたら手のひらかえされてしまい、しかし思い切れなくってとても辛いのです、のその後。

 わーもう胸がいっぱいです。

 松岡パートはわりと短く、今回はほぼ寛末視点での語りだったのだけれど、にもかかわらず寛末がすごい感じわるくて松岡がものすごい勢いでかわいそうというのがスゴイ。やっと…というところで、誰と!とか尖った声で言ってる寛末とかほんとうにひどすぎ(笑。松岡も泣くよそりゃ。
 そして、そんな語りなのに、寛末にはムカつくよりも先に早く前に進め、と応援してしまうのが更にスゴイ。というか、寛末がこんなにひどいのに面白いのがすごいと思う(笑。この話は寛末がひどくって松岡がめためたに傷ついて、っていうお話なんだよね、と。もっと言っちゃえば、それをエンタメとして提示してるテクストなんだろうなと思う。

 寛末はほんとしょうがないというか困ったちゃんというかたちの悪いひとなのだが、しかしそういう人として書かれているのだし、もうなんでもいいから松岡を助けてあげて!という一心でしか見られないので、躊躇いつつも前進してるだけで応援してしまうのだろうか。
 松岡には女装して寛末を騙してたっていう弱みもあるし、寛末にも今回は会社でのいろいろとか情状酌量の余地が残されてるあたりが担保になってる気もする(寛末のひどいしうちをエンタメとして楽しめてしまうための担保ね。
 あ、勿論そういう、寛末がひどい話が面白い、というのはカタルシス込みでの評価だけどね。これで松岡が報われてなかったら、あたしは反動でボロクソに批判、というか感情的な中傷を書いていたかもしれないと思う(笑
 いずれにしても、個人的にはとても面白かった。かわいそう受けが好きだからというわけでもない気がするのだけれど、ちょっとあんまりうまく分析はできてない。

 寛末の末尾近辺の衝動的な感情の変化は、正直ちょっとよくわからないというか、それまでが丁寧に説明されてただけに、なんで急にそこまでいくの?という気がしなくもなかった。あと、末尾はなんか急にやさしくなっちゃって、女装松岡への態度と近似してるのがそれはいいのかわるいのか、って印象でもあった。でももうなんでもいいから松岡をなんとかしてあげて!って感じで(笑、とりあえず松岡が幸せになれるんならなんでもいいかと…(笑

 松岡は女装の頃は確かにちょっと悪かったかもしれないが、基本的にすごくいいひとで…(笑。なぜヒゲを剃らないのか、とも思ったけれど、でも結果的にそれがよかった感じ。長いことバスルームにこもってたのははじめてなのに自分でしたということなんだろうが健気すぎるし、末尾のメールとかもうかわゆすぎる。あ、時計はどうなったんだろう??

 なにはともあれ、とりあえずアンハッピーエンドじゃなかったので、それだけでもうオールオッケーです。途中までちょっとどきどきしてました(笑
 あーなんだかまだぐるぐるしてますが、とりあえずそんな感じです。

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