吉原理恵子『トライアングル・ラブ・バトル』
新刊「激震のタービュランス」を見て、タービュランスって何だろう、と気になったのでシリーズ一作目を読んでみた。この作家は名前だけはよく拝見するので大御所なのだろうし、うかつに買ってみてもそうそう失敗はしないだろうと思ったし。
…ものすごいですね。
なんというか、文体がスゴい。
BLノベルって、一般小説とやっぱり文体が多少違うとあたしは思うんだけれど、それでもBL文体と一般文体の間に明確な区切りをつけるのは無理かも、という気もするのだ。グレーゾーンがあるというか。
しかしこのテクストは…これはもうラノベだ、と思った。BLと一般の間はグレーゾーンだけれど、ラノベ文体と一般文体の違いは、明らかに(少なくともあたしの中には)あるんだなあと思った。
なんだろう、とにかくものすごい句点が多い。読点のかわりに句点使ってるんじゃないのか、これ。あれか。戯作か。戯作ですか(まあ戯作もつきつめればラノベと同じといえばそうかも???)
しかも、ページ下の空白が異様に多い。「だが。」「しかし。」とかで一行とか使うですか、そうですか。
あ、そういう文体を批判したいわけではありません。ただ、これまでBLノベルってラノベというジャンルの中の一ジャンルだと思っていたんだけど、もしかして違うかもなあ、とか、むしろラノベジャンル自体が発展してきている中で、あたしのラノベ(文体)感覚がもう古いものになってるのかもなあ、とか、色々考えた。たぶん後者のほうが重要。
ええと、物語について。
バスケ部のエースでわんこ系モテ男の龍平、超絶美形の暴れん坊でヤローのカリスマ翼、という超有名人二人→頭はいいけど一般人な哲史。
まあそんなわけで、二人のナイトと平凡姫、で、だらだら~と全然お話が進まないし、このラノベ文体ラノベムードで哲史のとりあいが何冊も続くんだろうな~、とのんびり読んでいたので、哲史の帰宅場面あたりでアレ?と思って、その後の突然の暴露にビックリ仰天ですよ。とても下品ですが、お子様ランチのオマケがレースの下着でした、とかそんなかんじだった(どんなんだ。明らかにラノベでありながら、そこにBLが侵犯してきたという感じで、やっぱりそれら(ラノベとBL)はあたしの中で異質なものとして分類してたんだなあと思った。
まあエッチな展開は別にしてもだ、CP設定の段階からして既にBL的な気もする。
常道彼氏キャラ(多分)の龍平をおしのけてアテウマキャラ(多分)の翼がメインになってるのもBL的だし、物語の中で哲史に「選ばれていく」のではなく、既にデキちゃってるのもBL的。それらがラノベ文体でなされたからこそ、あたしはビックリしたのだと思う。
ちなみにあたしはそういう他ジャンルではやらないことをやってしまうのがBLってジャンルだ(ムチャクチャもベタもなんでもありというか)だと思ってて、だからあたしはBLを読むのをやめられないのだなあと思う。
まあ、あれです。タービュランスは乱気流のことでした(ぐぐった。続きは…新刊では読まないと思うけれど、古本でみつけたら読みたい。