沙野風結子『つる草の封淫』
なんかタイトルがスゴイ。
これは結構前に読んだんだけど、なんかお話が説明しづらく、感想を書くのを先延ばしにしてたのでした。
とある忍びの一族で、「珠」という貴人の身代わりとして育てられた受け。育ての親の白い総髪の上忍(攻めその2)といっしょに、某若様の身代わりとして、ある藩の国元へと向かう。そこの藩主の総領息子(攻めその1)はもの狂いとして有名で、若様はそれをいさめようとして一悶着おきてしまい、総領息子の元に人質としてとらわれることになったのです。
この作品での忍びは呪術師的な側面が強く、独自の設定が多くて面白いのだが、その設定が複雑なうえに、きっちりとは説明されずに匂わす感じで明かされていくので、特に最初の方はよくわからんかった。あと末尾の受けの結末は、ちょっと方法も結果も微妙な気が…。
受けは典型的な(?)かわいそう受けで、某若様の精神情報を受け取る際に、若様がきれいな心の伴天連教徒だったことを知って羨ましく思ったり、攻め1もそんな若様に興味を持ったんだろうなとか思ったり、というあたりがよかった。
攻め1は目が赤く(黒サガか、笑)、攻め2は目が黒いのがちょっと絵的に恐い。攻め1は冒頭あたりはかなりエグいサドで、あんまし感情移入できなかった。このひともかわいそう設定なんだけど、いまいちなんというか、キャラが立ちきってなかった気もする。設定がインパクトあるせいかなあ。
攻め2はあとがきにもあったとおり、もたもたしてたらダメじゃない、という感じか(笑。もうちょっとだけ受けと心が通じ合ってもよかった気がするんだけれど、受けがちゃんと自分を律っしてたのはよかったとも思う。しかしとはいえ、末尾ではしっかり攻め2なのはよかった(笑。
しかしこれが三部作になるということは、…攻め2には別の彼氏ができるんだろうな。ちょっと残念な気もする。相手は若様か、攻め1の侍従かな…(笑。