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[ 読書/BL小説 ]

木原音瀬『さようなら、と君は手を振った』

 「僕は幸せになるよ。幸せになって、君が幸せになれるように祈ってる」というオビの引用惹句はちょう恐かったのですが、まあでもいちおうそんなに不幸な結末ではなかったのでよかったです。
 のですが、この作家って、その結末までの過程が看過できないほどに過酷なこと多いですよね。

 従兄弟同士。高校生のころの夏、失恋して田舎へ帰り、従兄弟とそうゆう関係になったけど、町に戻ったらすっかり忘れてしまいました。が、社会人になったある年、実家の旅館の研修とかで上京した従兄弟と再会。
 都会ものの従兄弟はカッコよくってカッコつけで、だっさい田舎ものの従兄弟と一緒にいるのを見られるのもイヤ。なんだけど親もうるさいのでまあ仕方なく面倒をみてるうちに、なんかまたそうゆう関係に。狙ってる女性のアテウマにしたり、ごはんたかったり、イライラをぶつけてひどい抱き方したり、あげく彼女とのデート代たかったり、やりたい放題してたけど、ある日突然従兄弟はいなくなってしまう。

 こんな感じで、前半は最低なバイ攻め×淡々とつくしまくる受け、攻め視点。これは、受けにとって過酷ですよね。
 後半では、数年後、改心したやっぱりカッコつけな攻め×でも信じたらまた失ったとき立ち直れないお、な受け、受け視点。まあ、数年たってるのも、受けが攻めを信じられないのも、受けの子どもがいたりするのも、全部攻めがわるいんですが(笑、でも攻めにとって過酷ですよね。
 こういう、ある種残酷な語りって、どうなんでしょう。個人的にはもうちょっと甘くてもいい気がするのだけど。あと、それにともなってか、甘い後日談もあんまり書かれないよね。この後日談も、『こどもの瞳』の後日談みたいに第二世代になってしまってて、なんだかいまひとつ物足りなかった。
 まあとはいえ、最低ノンケ(気味)攻めが改心するという話形は好きだし、やっぱり面白かったです。

 あと、オビ、違う意味でもびっくりしました…このレーベル、木原音瀬以外の作家のノベルスも出すんですね…!(笑

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