"読書/BL小説"のアーカイブへ


[ 読書/BL小説 ]

橘かおる『彼は閣下に囚われる』

 シレジアものの三作目。
 前作にも登場の革命家貴族×秘密警察の長官閣下。

 軍学校時代の同級生兼親友で、閣下は貴族からの熱烈な告白後に身体を奪われ、直後に貴族が渡英、帰ってきてもよそよそしい。閣下は大いに傷つきつつ、革命家だとの密告のあった貴族をなんとか救おうと、自ら尋問に赴いて云々。

 まあネタバレというか、前作から読んでる読者には最初から見えてるネタなので書いてしまうと、それは学生時代に平民出身で苦労してた受けのために革命を志して、とか、スパイを摘発する役職の受けに迷惑がかからぬように、とかいう貴族の意図があったわけですが、…アホか!アホなのか!やることなすこと受けに迷惑がかかってるじゃないか!話せない事情もあったのだろうけれど、せめてひとこと伝えておくべきだったことだっていっぱいあっただろう!
 それに、本作での密告→スコエセロに幽閉→尋問、の時点で既にツァーリとの密約でスパイ容疑は見逃されているというのもひどい話だ。閣下には何にも落ち度はないのに皇帝からも貴族からも蚊帳の外にされてたわけで、ますます気の毒。

 展開自体(特に後半の)はそんなに悪くないのだけれど、とにかく上記のように閣下がいろいろ気の毒な上、そういう状況に正当性があるように思えないのでしらけてしまうし、攻めがカッコワルくみえてしまう。ので、ちょっと読んでいてしんどかった。とにかく攻めがダメダメだったのがかなり印象を悪くしている気がする。前作ではほとんどモブキャラだったせいか、なんだかキャラも薄いし。くりかえすが、お話自体はそんなに悪くもなかったと思うんだけど…。

 絵は前作に続いてピッタリだと思った。

with Ajax Amazon

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mayoiga.s6.xrea.com/x/mt-tb.cgi/975

コメント

私もこれ、つい最近読みました♪確かに今回はちょっと設定がムリムリでしたね。というか、このシレジア・シリーズは第2作(大公x日本大使)が突然変異的に突出して面白かったですね←まだ続くのかもしれないので結論づけちゃイケませんが(笑)。あの受けの日本大使の設定-クレバーで大人で男前なんだけど色っぽい-が絶妙でした~♪それを受け止める大公さんも度量が大きくてステキでしたしねぇ。大体、第1作の時すでに“脇の大公カプのほうが面白そう!”と思いましたもの。今回はこの大公&三条のその後の様子がちょぴっと読めたおまけ短編に1冊分代金払ったようなものです、私としては。

>べりんださん
そうですよね!やっぱり二作目が突出してますよね…!
わたしは2→1→3、という変な順番で読んでしまったので、最高潮からアレ?アレレ?という感じで次第に盛り下がっていってしまいました…(笑。でも今後も続編があれば、また必ず読んでしまうと思いますが(何しろわたしはロマノフ朝ロシアにとっても弱いので…。
二作目は本当に、べりんださんの仰るとおり、大使も大公もそれぞれにすごく魅力的で、そしてこの二人の相性がまたイイというか、すごく似合い且つ魅力的なCPだったなあと思います。今回もお茶会短編の三組の中で、一番光っていたように思いました(笑


追記※本文に書き忘れていたことを思い出しました
しかし、「ルーシャ」という愛称はとっても萌えました。わたしは「ーシャ」のつく愛称にも非常に弱いのです。

コメントを投稿

with Ajax Amazon