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[ オススメ 読書/BL小説 ]

鈴木あみ『Heimat Rose』1~4

 核心は避けてますがネタバレ気味です。

   

 もうとにかく面白く、はらはらさせられ、楽しめた。
 なんでこれ今まで読んでなかったんだろうというのと、今更でも読んで良かったというのとだけど、それもこれも2巻までKindle Ultimatedに入れてくれたアマゾンのおかげですよ。読み始める前は3巻以降は購入か~とか思ってたけど、2巻読んでる途中にそれはもうどうでもよくなりとにかく読みたい!読めればいい!状態になった(笑。

 この作家さん遊郭のイメージしかなくて今まで読んだことなかった(遊郭が苦手なわけではなく、遊郭物って数が多くてどれから読んだらいいのか…という感じであんまり読んでないだけです)のだけれど、はいまーとろーぜのタイトルだけは何度か見掛けて気になっていて、でもなんでみんな平仮名で書くんだろうと思ってたら最初のタイトルがそのまま『はいまーとろーぜ』だったのね。なんで平仮名だったんだろう。

 ふつーに面白いんだけど、それだけでは終わらない感じでもある。
 この作品が作者がおいくつの時に書かれたのかはわからないけれど、時々ある、作者の若さとかの理由で相当無茶な展開をしていて&それがものすごい魅力ともなっている&かつ、なんとかまとまっているお話、である気がした。高河ゆんのアーシアンとかこのタイプだと思っている(源氏は終わっていないのでこれにあたらない)。

 なにしろ、受けは拷問にかけられ半死半生で容貌も回復不可能なんじゃと思うほどにめちゃくちゃになるわ、攻めを手ひどく裏切るわだし、攻めも負けていなくて受けをギロチンにかけるわ、腐乱死体を抱きしめて号泣するわ、ロベスピエール並の独裁者になるわ、もう無茶苦茶(笑。木原音瀬だってここまでしないだろうというくらいだ。
 チュールがレイを裏切るのも、レイがチュールをギロチンにかけるのも、BLとしてというか恋愛物語として相当なので、レイがチュールを、チュールがレイを許せるのか、許すとしたらどういう流れで、というのがすごく興味深かった。その意味で、裏切りの理由と許せなさの理由がちょっとブレぎみなのは少々残念、レイに後悔させたくないからと、ギロチンのことよりも会いに来なかったからというのでまとめてしまってよかった気がする。

 あと、伏線がすごい。チュールがピアノを習うことがフェル関連や教会へつながったり、死の連鎖(オーエンの死→俺が死んだほうがよかったのかよ→その怒りはギロチンへの伏線へ、ギロチンでのチュールの死→死の取り返しのつかなさ→フェルについてのチュールの言葉をレイが納得)とか、すごくまっとうかつ緻密に構成されてる感じがした。
 とはいえ、一番すごかったのはソーセージが伏線になる、しかもすっごいいい場面でってことだけど(笑。

 レイがチュールを失っての砦の場面がものすごいツボ(絶望的で幸せな状況)で大好き。静謐でせつなく美しい。
 最後のあたりはチュールが逃げすぎでちょっとイライラした(笑、もういいじゃん!って。あの逃げまくりは、レイの身分を変えるためには必要かなという気もするし、レイがああならないと話の座りが悪いので仕方ない気はするけど。

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