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[ 読書/BL小説 ]

鳩村衣杏『不運な不破氏の愛人契約』

 喫茶店の長男、過去には有名カフェの一流ギャルソンだった過去を持つが、その後結婚を機にデパートづとめをし、リストラ離婚とふんだりけったりな35才。姉がついでる実家の喫茶店に身を寄せようとしたら、喫茶店は経営難、土地買収話がもちあがってる。そんな折に土地をねらってる企業のトップがやってきて、長男がペットになるなら融資するお、という話に。

 なんかもういろんなモチーフごちゃごちゃ詰め込みすぎで、雑然としてて何が書きたいのか全然わからない。
 35才はせっかく(?)オヤジ受けなのに、外見は二十台、性格もただのおっとりのんびり受け。流されやすいというキャラづけはともかく、一度は離れたけどやはりこの仕事が好きだとか言ってしまうギャルソンへの執着が、このごちゃごちゃしたキャラ設定の中では唐突に感じられて、感情移入出来ない。
 攻めも双子設定にはなんか意味あったのか、受けを混乱させただけでは。こっちのほうのギャルソンへの執着の仕方もよくわからないというか、自分がギャルソンにあこがれてたというのと、受けに感銘をうけたのと、受けに再会をしてからの話とがあんまりきれいに接続してなくて、雑な印象。開店予定の喫茶店の話もなんか適当ぽいというか、受けの提案とかもなんだか素人くさい。
 周囲のキャラも人数多すぎて、特に攻めの双子弟はあんまり出てこない割に役割は重要だし、不可解すぎ。後書きに冗談めかして書かれてたけど、シリーズ化のためだけの複線かと思うとちょっとげんなり。

 受けの受け身な性格からくるヘタレオヤジのシンデレラストーリーとか、攻めの双子設定、愛人契約と過去の愛人の顛末とか、受け実家と攻めの理想の喫茶店話、ギャルソンにまつわる因縁話、などなどとにかく詰め込みすぎで、それらが巧くまとまっていればいいんだけど、ちぐはぐで読んでて疲れる。

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 正直なところ読みながら、ほんとに鳩村衣杏なの??とまで思った。『秘書の嗜み』はいろんなモチーフもってきてもきれいにまとまってたのに、この落差は一体…。

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