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[ 読書/BL小説 ]

高尾理一『二十六年目の恋人』

 二十六歳でゲイでもてなくてチェリーで妄想癖の受け(推定)は最終面接でイケメン社長に一目惚れ。就職後すぐに出された出向から帰ってきたものの、社長の前で失態、しかしメガネを壊した詫びということで社長がごはんおごってくれるというのです。チェリーを話題にされると過剰反応したり、失態だらけだったり、お酒にめっさ弱かったり、社長に迷惑かけまくりなのですが、社長はアレが気になって気になって、なんかまた食事に誘ったりしてくれるのです。

 お話自体は、BLとして王道なような、めずらしいような話でしたが、全般に面白かったです。後半やや理屈っぽいのにもうちょっと整理できそうな感じはしたけれど、全体的にはよかったと思う。

 キャラがよいです。
 受けがギャーギャーうるさくて、普段だったらあんまりあたしの好きなタイプではないのだけれど、仕事が出来たり(それもあんまりわざとらしい感じではなく、実はいろいろ考えてたり、そういうとこが高尾理一の受けらしくってよかったです。うるさくて天然でダメ太郎だけれどそれでもにくめない、よいキャラなのです。
 社長はイケメンだけれど、受けは好きな人がいるのに自分につきあわせてる、とか思い込んで勝手につっぱしったり独占欲つよかったりで、やっぱり高尾理一らしいよい攻めです。はずかしいセリフも苦にならない、とか思うとこが好き。
 受けの先輩とか社長秘書とか、なんか高尾理一っぽくない感じもしたけれど、だからこそこのひとたちももうちょっと読んでみたい気がした。

 と言うかね、高尾理一のこういうコメディを前面に出したような話って、もしかして初めてなんですかね。
 あたしはこの作家のコメディ的な要素が大好きで作家買いしてるんで、こういうのは大歓迎だなあと思いつつ、もしかしてきっちりコメディなのは初めてなのか、とちょっとびっくりしたのでした。
 こういう路線また書いてほしいなあ。受け先輩の話とかも書いてほしい。

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