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[ 読書/BL小説 ]

高遠琉加『成澤准教授の最後の恋』

 うーん…なんというか、普通のお話だった。
 攻めは仏文科の准教授で、適当に恋愛を楽しんできたイケメンゲイ。友人編集者がつとめてる出版社で、メガネのさえない新人に出会い、当初は印象も薄かったのだけれど、雨に濡れて様子がおかしかったのに手を貸してからなんか気になって気になって、結局自分の担当に指名してそんなことになったのですが、彼には高校の頃から想い続けている人がいるらしく、云々。

 王道というよりはあまりにセオリーどおりで、恋を知らない准教授がはじめての恋愛でぜんぜんセルフコントロールきかなくってヘタレで、とかそういうわかりやすい流れだった。あんまりベタでつまらないキャラになってしまっていて、なんかもう少しは特色ほしかった。編集者から准教授への気持ちもやっぱりベタで、ちょっと描写たりない気もするし。いっそ思い人が准教授だったら、ベタとおりこして何かになったかもなあ、と思った。

 表紙を見て、高永ひなこの絵はかわいいしきれいだけれど、攻めが受けっぽいなあと思っていたら、中の絵を見たら中の絵のほうが好みだった。個人的にカラーより白黒のほうが好みな作家さんなのかも。

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 高遠琉加はどうしても身構えて読んでしまうと言うか、過剰に期待して読んでしまうみたいだ。高遠琉加なのだから、ベタからちょっとずらして面白いもの書いてくれるはず…とかの勝手な期待をしてしまうんだよなあ。やっぱこれって勝手なんだよな。

 でも今回、ちょっといろいろ考えててあたしが高遠琉加に期待してるものは何なのか、わかった気がした。
 高遠琉加で面白かった作品といえば、やはりまず『好きで好きで好きで』(来月復刊だそうでうれしいですv)、『愛と混乱のレストラン』、あと古いところでは『告白』『この胸をどうしよう』とか好きなのです。
 で、『観賞用愛人』『ホテル・ラヴィアンローズ』あたりはなんか平坦で萌えないしお話もいまいちだなあと思ってしまってた。
 あと、『王子様には秘密がある』は前半がベタすぎて、後半は面白かった。
 と、ならべてみると、つまりあたしは高遠琉加のかわいそうな人が報われる話がすきなんじゃあないのか?、と。あたしはお話の面白さや一風変わった設定とかではなくて、かわいそう受けとかかわいそう攻めを期待していたんだな実は、と、納得できた気がするのです。なので今後高遠琉加の作品を読むときには、ちゃんと傾向判断して、勝手に肩透かしされた気にならずにすむんじゃないかなあ、と思いました(笑

 でも、ちょっと例外なのが『天国が落ちてくる』ですね。やっぱりなんか異色な作品だなあ。

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