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[ 読書/BL小説 ]

いとう由貴『哀しみは雪のように』

 母や義父、妹を守るために借金のカタにロシアンマフィアに売られた受け。エロジジイになぶられ、EDのエロジジイにかわってその義理の息子=攻めに抱かれるというとんでもない日々だが、攻めは二人でがんばって幸せになろう、とかゆうので、攻めの忠告にそって受けはなんとかジジイに気に入られていく。
 ある日ジジイの隠し金庫を見せて貰った受けは、すぐさま攻めにチクり、攻めはクーデターをおこしてマフィアのトップにのぼりつめ、ジジイは心臓発作で病院に収容、そして二人は幸せに…なるわけねーだろw

 いやー、この作家いいですね。なんというか、攻めの異常性とか非道さがとってもあたし好みです。受けを縛るためにとんでもないことをする『恋の誘惑、愛の蜜』とか、記憶喪失の受けをだまくらかす『禁断の罪の果実』とか。
 とはいえ、そういうエキセントリックさは狙って書かれたものなのかどうかはいまいちわかりませんが、でもあとがきでも攻めの微妙っぷりには触れていたなあ。

 というわけで、始まりかたからトンチキだったのでちょっと心配でしたが、そして完璧面白い!神作品!とまでは言えませんが、面白かったです。

 攻めはすげー最低で、だがそれがよいのです。ほんとは実の祖父だというエロジジイ、もといボスへの執着とか確執とかも、なかなかよいかんじの背景として機能しています。
 そんな背景のために愛など知らない攻めなので、受けにどう感情移入してくのか、安直に愛を知ってしまったら陳腐にならないか、と思ったけど、この話は愛を知らない傲慢攻めが猛省してひざまづいて愛を乞う、という話ではなかったので、受けラブ!愛してる!というふうにはならないのですが、でも不満な印象はなかった気がします。受けの手を云々、という決め台詞がとってもよいのです。

 受けは家族のことを思い出すあたりとか、騙された自分が馬鹿だったみたいなかんじの心情とか、弱弱しかったり嘆いていたり恋に目がくらんでたりするだけの受けではないので、よい受けですね。受けもまた、決め台詞というか口説き文句がとってもよかったです。

 この作品で一番マズかったのは、きっとタイトルですね。
 もうね、ページの上にちいさく書かれてるタイトルが目に入ってしまうたびに、あたまの中でハマショーがオウオウうたってしまうの。もうね、萌えもしぼむというものです。
 や、内容にはよくあってるタイトルなんですけどね。

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