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[ 読書/BL小説 ]

水原とほる『悲しみの涙はいらない』

 電車の中で、某リブレコミックスをカバーもかけずに堂々とご覧になってるごく普通のオサレ系女子を見ました。メイクとかもふつうにオサレ系のひとだったので、もしかしてBLのこと全然しらなくて、BLがはずいとかすら思わないのかな、とかいろいろかんぐってしまった。
 なんにせよ女性専用車両ってこわいな!

 義父の会社が失敗して実母は逃げ、義父の慰み者にされたあげく借金とりに売り飛ばされた受け。イケメンで怖そうな元締めは、子供のお前が借金かえせと受けに男娼をさせるが、結局引き取って学校にまでいかせてくれるのです。借金のカタ的に抱かれますが、そこに心はなくって受けはつらくなってきまして云々。

 攻めは…空白というか、よくわからん。鬼畜なのはいいけど、わからなすぎ。

 不幸な境遇をかこつのではなく淡々と受け入れて、男娼にされてもいいように抱かれても親友と引き裂かれても、赤の他人である自分の面倒を見て進学までさせてくれる攻めに感謝している受けは、キャラ的にあたし好みである。現実だったら自分をかわいそうがっちゃう精神状態になっても当たり前だと思うけど、そんな状態フィクションでまで読みたくないし。それに、虚構なのだから無駄に自制きいててもいいと思うし。けどいきすぎて、卑屈になっちゃったり、攻めの内心がぜんぜん見えなくなっちゃったりすんのはちょっとしんどくて、だから最初のあたりはよかったけど後半ちょっといきすぎた感があった。

 そんなわけで、後半は事件も内面も展開がお手軽であっけにとられ、忙しかったのもあってちょっとよみさしてたりした。前半はなかなかおもしろかったのだけれど…。

 あと、挿絵がひどい。

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コメント

いつも切れ味のいい批評、楽しませていただいてます。今回は「あと、挿絵がひどい。」の一言バッサリに笑ってしまいました。確かにBLはイメージ形成への挿絵の貢献度、高いですものね。
水原さんは、最近「午前一時の純真」というのを読んだのですが、鬼畜大好物の私はその部分はとても楽しめたものの、やはり最後は駆け足で人物の心の動きがよく分かりませんでした;;なので標題作は未読ですが、クロエさんの言の意味は分かる気が…。

>べりんださん
こんばんは、書き込みありがとうございますv

挿絵…については、言いたいことはたくさんあったのですが、たくさんありすぎて気が遠くなったので、よしました…。

水原とほるさんはまだ数作しか読んでいませんが、今すごく気になっている作家さんの一人ではあります。なので「午前一時の純真」も気になっていたのですが、べりんださんに事前に情報をいただけてよかったです(笑。あたしも鬼畜は好きなのですけど…ともあれ、他の作品も読んでみようとは思っています。

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