遠野春日『貴族は華に秘恋を捧ぐ』
学習院の後輩×先輩。
あるいはもともと里子にだされた三男で、兄達の死により呼び戻されてグレぎみ放蕩三昧の貴族の息子×富裕な実家が没落して、攻めの家の書生になった優秀な帝大生。
あるいは傲慢攻めに清楚で凛と背筋の伸びた受け。
ベタながら微妙にはずしてる感じで、いまいち乗り切れない。攻めがいきなり変わるところとか、なんというか呆然とした。
とくに攻めの感情のゆれうごきが、最初の頃はなんかもうおキレイな先輩を汚してやる!って感じで裏の愛情がいまいちすけて見えにくいし、後半はでも受けって自分のこと好きなんじゃねえの、って余裕だし、なんか思いがつうじてもあんまりカタルシスを産まないんだよね。
あとあれだ、「恋愛は貴族のたしなみ」の攻めとどうしても比べてしまって、あっちのほうがきっちり傲岸不遜だったから、この攻めがちょっとキャラ不足にみえてしまうのかも。
受けも生真面目さと情の濃さがいまいちしっくりはまってないかんじで、キャラが立ちきれてない印象。
和清はキモくてよかったけれど、なんだか何のために出てきたのかいまいちわからない。
あと、いつも思うんだけど、冒頭の場面が長いと疲れてしまう。なんというか、最初の導入の場面が回想はさんだりそのままだらだらとえっちにもつれこんだりして何十ページもつづくと、なんか一息いれたくなる。ので、個人的には一回くぎってほしい。もちろんそんなことせずに一気に書かれても面白いテクストもあるのだろうけれど、難しいと思う。
石原理はびみょうにきわどいがまあこれくらいならなんとか、大丈夫(笑。
石原理は一時期着物系の話がつづいたとき神になるんじゃないかと思ったが、だんだんだめになってきてしまった気が。というか以前から絵も話もいいときと悪いときの落差のはげしい作家だけど。