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[ 読書/BL小説 ]

いとう由貴『うたかたの月』

 汞りょうの超美麗なカバー絵に惹かれてつい手に取ったら、『禁断の罪の果実』の作家か。

 謎の某国人×大日本帝国諜報部員。

 日清戦争後、対露政策の関係でロシアに隣接する某国に工作のため留学生として潜り込んだ受け。ロシア人の皇太后と、その息子たる皇帝への反感を利用して内乱を起こさせようと動く中、謎の男にバレてしまい身体を要求される。謎の男は、内乱に利用するために近づきたかった皇帝の兄に面会させてくれたりと、身分も意図もわからない。

 うーん。ごめん。どうもどうでもいい。
 どの登場人物も策略をめぐらせているのだが、どいつもこいつも考えが甘く穴だらけで、もうちょっとうまく動けないものかとか思ってしまう。そんなんだから話の流れもスムースでないし、誰が何をしたいのかよくわからずごちゃごちゃしてしまっている。そしてご大層な言葉のわりに理念も中途半端。皇帝の兄とかダメすぎ。

 BLとしては、途中までは唐突な関係性についていけない感じだったけど、謎の攻めが自分の気持ちを自覚するシーンとかは面白かったし、そこにおいては唐突さもうまく活きていた。でも結局、その後っていうか気持ちが通じ合った後がどうもいまいちで、上記のごちゃごちゃした筋の影響もあってか、いろんな意味で発展性がない終わり方になってしまった気がする。だから十年後の後日談もあんまり面白くなかった。

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